恥垢とは?溜まりやすくなる原因と治療法の解説

2023.06.08

  • フェムテック

この記事を読んでいるあなたは

  • デリケートゾーンの白いもの(恥垢)が気になる
  • 恥垢をできにくくはできないのか?
  • 恥垢ができる原因が知りたい

上記のように考えているかもしれません。

この記事ではそんなあなたに「恥垢とは?溜まりやすくなる原因と治療法の解説」までお伝えしていきます。

恥垢とは

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恥垢とは、デリケートゾーンに溜まった垢のことを指します。具体的には、排泄物や経血、おりもの、汗や皮脂といった体から排出される分泌物が固まって溜まった垢です。女性器で恥垢が溜まりやすい部分は、以下のとおりです。

  • 大陰唇と小陰唇の間
  • 小陰唇の内側
  • クリトリス包皮の内側

女性器は複雑な構造をしていることと、恥垢に脂が混じっているためお湯だけでは落としきれないこともあり、恥垢が溜まりやすくなっています。

<女性器についての詳しいコラムはこちら>
女性器とは?それぞれの名称や構造とトラブルを解説

恥垢が女性器に溜まるデメリット

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恥垢が溜まっている状態を放置していると、様々なトラブルに発展する恐れがあります。ここでは、恥垢が溜まるデメリットについて、以下の項目で紹介していきます。

  • 臭いの原因になる
  • 感染症にかかりやすくなる
  • 性行為が楽しめない

恥垢が溜まりやすい方は、ぜひチェックしてみてください。

臭いの原因になる

健康的な膣は、一般的に無臭またはヨーグルトに近い少し酸っぱい臭いがする程度です。この状態であれば気になりませんが、恥垢が溜まると特有の臭いが発生するようになります。恥垢が溜まった女性器の臭いは、個人差こそありますが、一般的には以下のような特徴があります。

  • ツンとする臭い
  • 尿に近い臭い
  • 生臭い

この特有な臭いは、体から排出される汗・皮脂・おりものなどが溜まった恥垢が酸化し、雑菌と混ざることが原因です。そもそも女性器は、尿道や肛門が近いので、排出物が付着し、臭いが発生しやすい状態でもあります。特に生理中は、経血が空気に触れて酸化したり、雑菌が増えやすい状態であるので、自身の臭いが辛いと感じる女性も少なくはないでしょう。恥垢が溜まり不衛生な状態になると、臭いの発生リスクが高まるため、適切なケアが重要です。

感染症にかかりやすくなる

前述の通り、デリケートゾーンの恥垢は、汗や皮脂、経血、おりものなどが混ざったものですが、正常な範囲内では自浄作用によって清潔を保っています。しかし、適切な衛生管理が行われない場合、恥垢の蓄積が起こり細菌の増殖につながる可能性があります。

細菌が増殖することで感染リスクが高まる感染症は、以下のとおりです。

  • 細菌性膣炎
  • カンジダ症
  • クラミジア

このような感染症にならないためにも、適切な清潔習慣を心掛けることが重要です。また、デリケートゾーンが「痒い」「臭いがいつもと違う」といった感染症の疑いがある症状が出ている場合は、婦人科などで相談しましょう。

<感染症についての詳しいコラムはこちら>
性感染症(性病)とは?種類一覧とその原因や感染経路を解説

性行為が楽しめない

恥垢の蓄積によるデリケートゾーンの異臭や不快感は、性行為中にも気になることがあるでしょう。パートナーや自身への自己意識が高まる状況では「臭ってたらどうしよう…」「垢が残っているかも…」とその影響を強く感じるかもしれません。

恥垢が女性器に溜まりやすい原因

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恥垢が溜まると臭いの原因になることもあります。ここでは、恥垢が溜まりやすい以下3つの原因を紹介します。

  • 小陰唇の肥大
  • クリトリス包茎
  • 汚れが落としきれていない

デリーケートゾーンの臭いや痒みなどが気になる方は、ぜひ参考にしてください。

小陰唇肥大

小陰唇は女性器の一部であり、ふっくらとした大陰唇の内側にある左右一対のヒダを指します。小陰唇が拡大している場合、大陰唇との間に恥垢が溜まりやすくなる傾向にあります。よって、恥垢が小陰唇の周りに溜まらないよう、定期的なケアが重要です。
また、小陰唇が肥大する主な原因は、以下のとおりです。

  • 生まれつきによるもの
  • 妊娠出産などにおけるホルモンバランスの影響
  • 摩擦や炎症
  • 加齢による皮膚の衰え

女性の体は思春期以降になると、女性ホルモンの影響を受けて小陰唇が大きくなり始めます。その際、小陰唇は生まれ持った遺伝的要素によって、大きさが決まっている場合がほとんどです。ですが、ホルモンバランスが大きく変化する妊娠・出産の時期に、小陰唇が大きくなることがあります。その他にも、会陰切開後の縫合で形がいびつになったり、出産で物理的に伸びてしまう女性もいらっしゃいます。
そして、加齢が原因で小陰唇が目立ってくる方も少なくはありません。お顔だけでなく、大陰唇もお肌ですから、加齢による影響は受けてしまいます。それまで大陰唇によって隠れていた小陰唇が露出し、摩擦や炎症を起こして肥大していくという悪循環もありえます

<小陰唇肥大についての詳しいコラム>
女性器のびらびら(小陰唇)肥大化・黒ずみの改善と小陰唇縮小手術について

クリトリス包茎

クリトリスは、小陰唇の上にある小さな突起です。このクリトリスの外側にある「包皮」と呼ばれる皮膚が全体的に覆いかぶさっている状態を「クリトリス包茎」と言います。
多くの方は、通常の状態ではクリトリスは剥けていませんが、実際に包皮がクリトリスを覆っていることで、考えられるデメリットは以下のとおりです。

  • 陰部に恥垢が溜まりやすい
  • 性行為で快感が得られにくい
  • 自信喪失につながる

クリトリス包茎は恥垢が溜まるだけでなく、性行為の際に「刺激を感じにくい」などの悩みを引き起こします。満足感が減少するため、心理的なストレスを感じる方もいるでしょう。

<クリトリス包茎についての詳しいコラム>
クリトリス包茎手術によるメリットや治療の流れを解説

汚れが落としきれていない

デリケートゾーンを適切に洗浄していないと、恥垢が溜まりやすくなります。具体的には、以下のようなケースは恥垢が溜まりやすいので注意が必要です。

  • 洗浄時におりものや経血などを十分に洗い流せていない
  • 適切な洗浄剤を使用していない
  • 洗浄頻度が不十分

恥垢は脂分を含んでいるため、女性器にこびりつきやすいものです。そのため、シャワーでささっと流しただけでは、落としきれず残ってしまうこともあります。汚れや恥垢の残留は感染症のリスクを高めるだけでなく、臭いや不快感の原因にもなるので注意が必要です。

恥垢を溜めない正しいケア方法

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恥垢が発生する原因は、間違ったセルフケアが関係している可能性があります。ここでは、デリケートゾーンの正しい洗い方について以下の4つのポイントで紹介します。

  • 石鹸を泡立てて優しくケアする
  • 弱酸性のデリケートゾーン専用ソープを使う
  • 保湿をする
  • 排泄後は前から後ろに拭く

デリケートゾーンの衛生状態が気になる方は、ぜひ参考にしてください。

<フェムケアについての詳しいコラム>
膣ケア(フェムケア)とは?正しいやり方で更年期の辛さも改善しよう!

石鹸を泡立てて優しくケアする

デリケートゾーンに使用する石鹸は、泡タイプが理想的です。よって、液体タイプの場合はしっかり泡立ててから使用しましょう。洗い方は、指の腹を使い泡立てた石鹸をクッションにするように摩擦をかけずに洗うように心がけてください。指の腹を使い優しく洗ったあとは、人肌程度のぬるま湯で石鹸を洗い流します。熱すぎるお湯は、黒ずみの原因になるので注意してください。
また、恥垢が落ちないからといって、ボディタオルで強くこすったり爪を立てて洗うことはしないようにしましょう。粘膜を傷つける恐れがあります。

デリケートゾーン専用ソープを使う

デリケートゾーンの洗浄には、専用の弱酸性ソープの使用を推奨しています。通常のボディソープは強い洗浄力を持つので、デリケートゾーンに使うと膣を清潔に保つために必要な常在菌まで流してしまう可能性があります。
また、通常のボディソープは膣内の「pH値」のバランスを崩してしまう恐れがあるので、成分表を確認して肌に優しい製品を選ぶようにしましょう。酸性〜アルカリ性の度合いを示すpH値ですが、膣内はおよそ3.8〜4.5と酸性寄りになっています。酸性に寄りになっているのは、外からの刺激に弱い膣内に侵入する細菌やその繁殖を防ぎ、女性器を清潔な状態に保つ役割があるためです。そのため、ピリピリとした刺激を感じる方は、ボディソープを見直し、弱酸性ソープの使用をおすすめします。

保湿をする

洗浄後は乾燥しやすいので、顔や体のスキンケアと同じようにデリケートゾーンも保湿をするようにしましょう。丁寧に保湿することで膣周りの肌が整い、弾力のあるハリを目指せます。その際、使用する保湿アイテムは、顔や体のスキンケアよりも刺激の少ない成分を選ぶのがポイントです。デリケートゾーン専用の保湿ローションやクリーム、オイルを使用して乾燥を防ぎましょう。
お風呂上がりは洗いっぱなしで放置してしまうことが多いですが、保湿ケアが必要なのは顔や髪と同じです。ご自身の肌に合う保湿アイテムをぜひ、探してみてください。

排泄後は前から後ろに拭く

排泄後は、前から後ろへ優しく拭くことが基本です。後ろから前に拭いてしまうと、おしり周りの雑菌が膣内に紛れ込む可能性があり、おりものや恥垢の原因になります。その他にもトイレットペーパーで強くこすると、デリケートゾーンが傷つく恐れがあります。優しく押し当てるように拭いて、摩擦を極力減らすようにしましょう。
そして、デリケートゾーンのためにもトイレットペーパーは、柔らかく2枚以上重なっているタイプをおすすめします。薄すぎるペーパーはボロボロになりやすく、ヒダの間に残ってしまうことがあるためです。

また、綺麗にしたい、臭いが気になるからといって、トイレに行くたびにウォシュレットを使用するのはおすすめしません。ウォシュレットの頻度が高いと、膣の中まで洗うと善玉菌が洗い流されてしまうためです。もともと膣には、自浄作用を持つ善玉菌が膣内のバランスを保つ役割を果たしています。ですが、デリケートゾーンを洗いすぎると、細菌の繁殖リスクが高まる可能性があります。もし、使用する際は外側とヒダの間だけを洗うようにしましょう。

恥垢を溜めにくくする治療法

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恥垢によるお悩みが解決されない場合は、クリニックでの治療がおすすめです。クリニックで治療を受ければ、おりものや恥垢が溜まる根本的な解決を目指せます。
ここでは、恥垢が溜まりやすい方におすすめな治療法を以下3つ紹介します。

  • 小陰唇縮小手術
  • 副皮切除
  • クリトリス包茎手術

陰部の臭いや痒みが原因で性行為に積極的になれない方は、ぜひ参考にしてみてください。

小陰唇縮小手術

小陰唇は、ふっくらとした大陰唇の内側にあるヒダの部分です。形やサイズには個人差があり、人によっては大陰唇より大きくはみ出ている方もいるでしょう。
小陰唇が肥大しているとヒダの間に恥垢が溜まりやすく、衛生的にも良くありません。そこでおすすめするのが、小陰唇縮小手術です。小陰唇縮小手術は、余分な皮膚を部分的に切除し肥大した小陰唇の形を整える治療法です。局所麻酔をしながら、バランスの良い自然な外観を目指すことができます。

特に、以下のような症状に適しています。

  • 小陰唇が大陰唇より大きくはみだしている
  • 左右の差や形のいびつさがある
  • 汚れが溜まりやすい

小陰唇の肥大化は、摩擦、黒ずみ、悪臭の原因にもなるので放置せず早めに対策をしましょう。

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副皮切除

副皮は、小陰唇とクリトリス包皮の間にある皮膚です。ですが、副皮は医学的な用語ではなく、いわゆる俗称となっています。個人差のある部位で、全くない方もいれば、ひだ状になっている方もいらっしゃいます。
小陰唇やクリトリス包茎と一体となっていることも多いため、小陰唇縮小手術や後述するクリトリス包茎手術と同時にされる方や希望する方も少なくはありません。その際は、適応になるか診断し、全体的なバランスを見てデザインさせていただきます。

コラムバナー_副皮切除

クリトリス包茎手術

クリトリス包茎手術は、クリトリスの包皮(覆いかぶさった皮膚)を修正する手術です。クリトリスは女性の性器の一部であり、包皮がかぶっている状態を「クリトリス包茎」と呼びます。
クリトリス包茎手術の主な目的は、クリトリスの露出や刺激へのアクセスを改善することです。クリトリスと包皮の間に恥垢が溜まりやすい方や、刺激されても感じにくい不感症の方におすすめの治療法です。手術では、クリトリスの包皮を一部または完全に切除することで、クリトリスが露出しやすくなります。手術することで衛生的にも清潔に保てるようになり、性的な感覚や快感の増加を期待できます。

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間違ったセルフケアは恥垢の原因に!専門のクリニックに相談しよう

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今回は、恥垢が溜まる原因や臭いや感染症を回避する対策を紹介しました。恥垢は女性の健康に関わる問題であり、間違ったセルフケア方法は悪化させる原因になります。正しいセルフケアを心がけつつ、悩みが続く場合は早めに専門のクリニックで適切な診断と治療を受けることをおすすめします。恥垢による悩みを解決し、快適な生活を送りましょう。

また、ヴェアリークリニックでもカウンセリングにて、お悩みをお聞きいたします。気になる方はぜひご予約ください。

この記事を監修した医師

ヴェアリークリニック院長

井上 裕章

医師プロフィール

2014年東京大学医学部卒業。外科専門研修を修了、外科専門医を取得を経て、2019年に東京大学医学部附属病院にて勤務。性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を専門とする外科診療に従事してきた。その過程で下半身の美容的な悩みを抱える患者さんから相談が多く寄せられるようになるが、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関が存在しないことを知る。自身で立ち上げるために各分野の美容系クリニックにて修練を重ねたのち、2022年に「veary clinic」 を開院。自らの骨盤臓器と下肢に対する外科治療の経験および解剖の知識を生かしつつ、最善の治療を患者さんに提供している。日本外科学会認定外科専門医。日本外科学会、日本性機能学会、日本フットケア・足病医学会、日本大腸肛門病学会に所属している。