性感染症(性病)とは?種類一覧とその原因や感染経路を解説
2023.12.21
-
フェムテック
この記事を読んでいるあなたは
- 性感染症(性病)にはどんな病気がある?
- 性感染症(性病)の原因が知りたい
- 性感染症(性病)の予防方法はあるのか?
上記のように考えているかもしれません。
性感染症(性病)とは?
性感染症(性病)は、主にセックスやキスなどの性行為によって感染が広がる病気です。STI(Sexually transmitted infection)やSTD(Sexually Transmitted Diseases)とも呼ばれています。
性感染症(性病)の原因
性感染症(性病)の発症となる主な原因は、下記の通りです。
- 細菌
- ウイルス
- 寄生虫
これらが体内へ侵入し、増えることで性感染症(性病)は発症します。性感染症(性病)にはさまざな種類があり、潜伏期間も異なります。そのため、誰にでも発症する可能性があり、たった1度の接触が原因で発症することもあるのです。
また、自覚症状のないことも多く、そのことが性感染症(性病)を広げる原因にもなっています。特に女性は自覚症状が少ないため、見逃されることも多いようです。
性感染症(性病)の感染経路
性感染症(性病)の感染経路として、下記のような経路があります。
性的接触
性的接触には、
- 膣性交
- 口性交
- 肛門性交
- キス
上記のようなことがあげられ、膣粘分泌液や精液、唾液などを介して、感染する可能性があります。
母子感染
母親から胎児に感染することを母子感染と言います。妊娠する前や妊娠中に感染してしまうことで、
- 胎内感染:母体の中で感染
- 産道感染:産道を通る際の感染
- 母乳感染:母乳を介しての感染
といった経路で胎児に感染する可能性があります。
血液感染
性感染症(性病)は、血液が粘膜や傷口に触れたり、輸血や注射器を通して感染する可能性もあります。日常生活なら歯ブラシやカミソリを介して感染もあり得るため、他人の血液が付着している可能性のあるものは共有しないことが大切です。
また、輸血に関しては、日本赤十字社では大変厳重な感染症検査を実施しています。そのため、輸血を通しての感染リスクは極めて低いです。
皮膚接触
一部の性感染症(性病)は、皮膚に直接触れることで感染します。例えば、ヘルペスは皮膚と皮膚が触れることが感染原因となります。大変まれではありますが、温泉や銭湯、サウナといった共有施設での感染リスクも否定できません。
性感染症の主な種類一覧
性感染症は自然に治ることはありません。そのため、自覚症状がある場合には、早急に医療機関で検査や治療を受けるようにしましょう。
後天性免疫不全症候群(AIDS:エイズ)
病原体 | HIV(ヒト免疫不全ウイルス) |
潜伏期間 | 約3週間/約10年 |
感染経路 | 性行為、血液や体液との接触 |
治療方法 | 抗HIV薬 |
後天性免疫不全症候群(AIDS:エイズ)は、「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)」に感染し発症した時点で診断されます。数週間の潜伏期間を経て、インフルエンザのような病状が初期症状として出た以降は、発症するまで無症状であることがほとんどです。
症状としては、免疫力が低下して、さまざまな感染症にかかりやすくなったり、悪性腫瘍を引き起こすようになります。
梅毒
病原体 | 梅毒トレポネーマ |
潜伏期間 | 3〜6週間 |
感染経路 | 性行為を介した粘膜や皮膚接触など |
治療方法 | ペニシリン系の抗菌薬 |
梅毒は、「梅毒トレポネーマ」によって引き起こされる感染症です。古くから代表的な性感染症として知られておりましたが、梅毒の感染者数が全国的に急増していることで、身近な感染症になりつつあります。
症状として、第1〜4期までのステージがあり、それぞれのステージの間に症状は治ることが特徴です。
- 第1期:しこり、だたれ、できもの
- 第2期:発熱、倦怠感、さまざまな発疹、リンパの腫れ
- 第3期:皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍
- 第4期:臓器の腫瘍、麻痺性痴呆
現代では、適切な治療がされることが多く、第3〜4期まで進行することはほとんどありません。
淋菌感染症
病原体 | 淋菌 |
潜伏期間 | 2~7日 |
感染経路 | 性行為を介した粘膜接触など |
治療方法 | 抗菌薬の服用や注射・点滴 |
淋菌感染症は、「淋菌」が原因で発症します。感染率は1回の性交渉で20〜50%と高く、注意が必要になります。ですが、感染部位から離れると死滅しやすく弱いため、性的接触以外で感染することは非常に稀です。
症状は、下記にあらわれます。
- 男女共通:喉や目、肛門
- 男性:尿道
- 女性:子宮頸管
女性の場合だと無症状であることも多く、早期発見が難しいことも特徴です。また、淋菌感染症の薬剤耐性化が進んでいるため、治療が困難になることもあるでしょう。
性器クラミジア感染症
病原体 | クラミジア・トラコマティス |
潜伏期間 | 1〜3週間 |
感染経路 | 性行為を介した粘膜接触など |
治療方法 | 抗菌薬(主にマクロライド系、ニューキノロン系) |
性器クラミジア感染症は、「クラミジアトラコマティス」という細菌が原因の性感染症です。日本国内でもっとも多い性感染症で、若年層に多く見られます。
前述した淋菌感染症と症状が似通っていますが、男女ともに自覚症状は性器クラミジア感染症の方が薄いことも特徴です。そのため、女性は妊娠時や不妊治療などで見つかる場合もあります。
ヘルペス
病原体 | ヘルペスウイルス |
潜伏期間 | 3〜7日 |
感染経路 | 体液の付着、性行為を介した粘膜接触など |
治療方法 | 抗ヘルペス薬の服用や点滴 |
ヘルペスは、「ヘルペスウイルス」が原因で起こる性感染症です。感染力の非常に強いウイルスで、ウイルスの付いた食器やタオルなどの共有や病状が出ていない時の接触でもうつしてしまうこともあります。また、1度感染すると、体内からヘルペスウイルスは取り除けません。
症状は、性器や肛門、口唇やその周辺の皮膚・粘膜に水疱瘡のような水疱や潰瘍が形成されます。しかし、病状がおさまっても、長期間にわたって再発を繰り返す方が多いです。主にストレス、疲労、発熱などの体の抵抗力が落ちたタイミングで再発しやすくなります。
尖圭コンジローマ
病原体 | ヒトパピローマウイルス |
潜伏期間 | 1〜2ヶ月 |
感染経路 | 性行為を介した粘膜・皮膚接触など |
治療方法 | 軟膏、液体窒素、レーザー、手術での切除 |
尖圭コンジローマは、「ヒトパピローマウイルス」というウイルスが原因となる性感染症です。ヒトパピローマウイルスには100種以上の型があり、その中で6型と11型と呼ばれる種類が尖圭コンジローマを発症します。
症状として、性器や肛門周辺に鶏冠状のイボができることが特徴です。痛みやかゆみなどはなく、目につきにくい部位にできると発見が遅れることがあります。また、放置しているとイボは増殖して治療が難しくなります。
トリコモナス症
病原体 | 腟トリコモナス原虫 |
潜伏期間 | 5〜14日 |
感染経路 | 性行為を介した直接接触など |
治療方法 | メトロニダゾール |
腟トリコモナス症は、「腟トリコモナス原虫」が性器内に入り込んで感染します。稀ではありますが、お風呂や便座、衣類やタオルの共有からも感染する可能性があり、性交渉の経験がない方も感染することが特徴です。
女性の場合、膣や膀胱に炎症や悪臭を伴うおりものが出たり、激しいかゆみやただれなどが生じます。男性の場合は無症状であることがほとんどです。
ケジラミ症
病原体 | ケジラミ |
潜伏期間 | 不定(自覚症状は1〜2ヶ月で発生) |
感染経路 | 性行為を介した直接接触など |
治療方法 | 剃毛、フェノトリン |
ケジラミ症は、「ケジラミ」がヒトに寄生することで起こります。ヒトのみに寄生し、感染する際は性行為を介する場合がほとんどです。宿主から離れると48時間程度しか生存できず、自力では10cm程度しか移動できませんが、毛布などの寝具やタオルなどを介して間接感染することもあります。
ケジラミのかゆみは非常に強く、掻きむしって傷になったり、湿疹や水疱ができることもあります。ケジラミが吸血する際に注入する唾液のアレルギー反応が原因です。
また、毛にケジラミの卵が見られたり、下着に黒や茶色の点状シミが付着することもあります。これはケジラミのフン(血糞)によるものです。
カンジダ症
病原体 | カンジダ属の真菌 |
潜伏期間 | 1~2週間 |
感染経路 | 自己感染、性行為を介する場合もある |
治療方法 | 抗真菌剤の膣錠や軟膏 |
カンジダ症は、「カンジダ属の真菌」つまり、カビが原因の性感染症です。性感染症と記載しましたが、必ずしも性行為を介して感染するものとは限りません。カンジダ属の真菌は、性器の粘膜や消化器、皮膚などにいる常在菌なので、健康な体にも存在します。そのため、普段は症状が出ないことが多いです。
症状が出るのは、体調不良や疲労などの免疫力が下がる時に起こります。性器周辺にかゆみや発疹が出たり、女性なら白い酒粕状やヨーグルト状のおりものができることが特徴です。女性にとっては頻度の高い疾患なので、放置される方もいらっしゃいますが、慢性化して治療が難しくなることもあります。
B型肝炎
病原体 | B型肝炎ウイルス |
潜伏期間 | 30〜180日 |
感染経路 | 体液・血液などの直接接触 |
治療方法 | 抗ウイルス薬・インターフェロンなど |
B型肝炎は、「B型肝炎ウイルス」が膣分泌液や精液などの体液、血液などを介する感染症です。しかし、あらかじめB型肝炎ワクチンを摂取することで予防することができます。
症状は、急性肝炎と慢性肝炎に分けられます。
- 急性:微熱、だるさ、黄疸など
- 慢性:無症状
どちらの場合も放置していると、肝硬変や肝がんへ進行することがあります。
C型肝炎
病原体 | C型肝炎ウイルス |
潜伏期間 | 15〜180日 |
感染経路 | 血液・体液などの直接接触 |
治療方法 | 抗ウイルス薬とインターフェロン |
C型肝炎は、「C型肝炎ウイルス」が血液を介して体内へ直接入ることで感染する感染症です。性交渉そのものでは感染する危険性は低いですが、粘膜に傷があったり、出血を伴うような行為や生理中だと危険性が上昇します。また、B型肝炎と違い、ワクチンでの予防ができません。
主な初期症状は、倦怠感や食欲不振、腹痛などがあります。軽度であることが多く、なかなか感染したことに気づきにくいでしょう。しかし、早期発見や早期治療によって、不治の病から治る病気へと変化しました。
性感染症(性病)の予防方法
- 不特定多数の相手と性交渉をしない
- 性交渉の前後でシャワーを浴びる
- 性交渉ではコンドームを着用する
- 必要に応じてワクチンを接種する
性感染症(性病)の予防のために性交渉をしないという方法は現実的ではありません。そのため、上記のような方法をおすすめしています。
また、近年では、性感染症(性病)にかかる方も増えてきており、自分を守るためにも積極的な予防が必要になってくるでしょう。
まとめ
性感染症(性病)にはさまざまな種類があり、予防に加えて早期検査や治療を受けることが重要です。症状が軽度もしくは無症状であるからといって、放置してよいものではありません。そのままにしておくと、パートナーに意図せず移してしまったり、流産や胎児への感染へ繋がる原因となります。違和感を感じたらなるべく早めに医療機関へ行くようにしましょう。