更年期における性交痛とは?痛みの原因から対策や治療方法について

2022.09.13

  • 女性器形成

この記事を読んでいるあなたは

  • 40代を超えてから性交痛がひどくなった
  • 更年期障害と性交痛の関係について知りたい
  • 更年期における性交痛の改善が知りたい

上記のように考えているかもしれません。

この記事ではそんなあなたに「更年期における性交痛とは?痛みの原因から対策や治療方法について」をお伝えしていきます。

性交痛とは?

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性交により発生する痛みの総称です。挿入時や挿入後に動かした際、もしくは性交後に痛みを感じることを指します。痛みは「入口部(膣の入り口)」と「深部性(膣の奥)」に分かれていて、それぞれに痛みの生じる原因があります。今回は、そんな性交痛と更年期の関連についてお話しします。

更年期性交痛の症状

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更年期の性交痛には、下記のような症状が挙げられます。体の様子に近いものでお困りごとがありましたら、ぜひご相談ください。

膣内の乾きや収縮

更年期では膣内が乾きやすく、また、膣壁も収縮もしやすいため、デリケートゾーンに以下のような症状を伴うことが多くなります。

  • 灼熱感
  • 乾燥感
  • 掻痒感
  • 圧迫感
  • 不快な臭いや色のあるおりもの
  • 性交痛

これらを悪化させる要因として、

  • 石鹸で強く洗いすぎる
  • ビデを過度に使用する
  • 密着しやすい衣服の着用
  • 通気性の低い下着の着用

などがあります。上記に心当たりのある方は、少しでもこれらの要因を減らしていくことで、デリケートゾーンの負担を軽減できます。

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外陰部などの痛み

更年期になると、更年期前よりも膣の分泌液が減少するため、腟潤滑が悪くなりがちです。うるおいが不足した状態で無理に性交渉をすると、外陰部に傷ができて出血することもあります。そこから雑菌が入り込んで悪化してしまうこともあるため、痛みのあるときは性交渉を控えるようにしましょう。
また、元々デリケートゾーンは他の部位と比べて皮膚が薄い場所です。そこに更年期が加わるとデリケートゾーンはさらに皮膚が薄くなり、一度傷ついた場所は再び傷つきやすくなります。ちょっとした刺激で切れやすいため、特に注意が必要です。

感染症による痛み

更年期では雑菌からデリケートゾーンを守る役割を持つ「おりもの」が分泌されにくくなるため、感染症のリスクが高まります。そのため、感染症による痛みを感じ、それが性交渉時にも出ていることもあります。特に女性がかかりやすい膀胱炎は、繰り返し病状が出たり、完治しにくい方も多く、性行為によって病状が悪化しやすい疾患です。他にも雑菌や細菌による感染症に、「バルトリン腺嚢腫」や「トリコモナス膣炎」などの感染症があり、腫れや痛みを伴うこともあります。更年期へ入ったら、衛生面や保湿に気を配り、痛みを感じる時には無理をしないようにしましょう。

更年期における性交痛の原因

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性交痛は場合によって、パートナー様との関係が悪化したり、悪化とまではいかなくともパートナー様への罪悪感で不安を感じる方も多いと思います。ここでは、更年期で起こる性交痛の原因を紹介します。

女性ホルモンの低下

更年期は卵巣の機能が徐々に低下し、女性ホルモンも最終的にほぼ分泌されなくなります。女性ホルモンが減少すると、膣の部分の潤滑液なども減少して、デリケートゾーンが物理的な摩擦に耐えられなかったり、敏感になってしまいます。このため、陰茎の挿入時やスライドさせている時に痛みを感じることが増えてくるのです。

皮膚のハリや弾力の減少

女性ホルモンは、皮膚のハリや弾力とも密接な関係にあります。更年期を迎え、女性ホルモンの分泌される量が減少してくると、肌のコラーゲンや皮脂量も減少、ハリや弾力・ツヤが失われます。実はこの変化は顔だけでなく、女性器周辺にも現れます。デリケートゾーンがヒリヒリと痛んだり、性行為の際に切れやすくなったりするのは、お顔と同様にデリケートゾーン周りの肌も乾燥で刺激に対して弱くなっているためです。

また、それまでふかふかのクッションのように膨らんでいた膣内は、女性ホルモンの減少に伴い、少しずつ薄くなっていき、弾力も減少していきます。膣内が硬くなると出血、炎症、かゆみといった症状を自覚することも増えてくるでしょう。そのため、性行為の際にも痛みを感じ、最後までできなくなったという方も少なくはありません。このようにコラーゲンや皮脂量の減少は、体全体に対して影響を及ぼします。その他にも性交痛とは関係ありませんが、尿道付近の筋肉が硬くもしくは、緩くなり、頻繁な尿意や尿モレを体感する女性も増える傾向にあります。

婦人科系の疾患

ずっしりと重い痛みを下腹部に感じる、濡れるのに痛いという場合には、以下のような婦人科系の感染症や炎症が疑われます。

  • 子宮内膜症
  • 子宮筋腫
  • 子宮がん
  • クラミジア感染症
  • カンジダ外陰腟炎

上記のような病気の自覚症状は性行為の痛み以外にも、

  • 性行為以外でも痛む
  • 排尿や排便の際に痛みを感じる
  • 生理痛が重くなった
  • 痛みの時間が長い

などを感じることがあります。これらの自覚症状が現れたときには、早めに病院で診察を受けるようにしましょう。

心理的要因

感情は痛みの感じ方にも大きな影響を与えます。パートナー様に対して、大きな怒りや悲しみといった気持ちを感じている場合、軽度の不快感でも強い痛みへと感じることがあります。これは感情が昂ると筋肉が緊張して硬くなり、痛みが刺激されやすくなることが原因です。そのため、性行為への意欲の低下や拒否感が生じることも少なくありません。

更年期性交痛の対策や治療

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膣やデリケートゾーンのうるおい不足対策をいくつか紹介いたします。ぜひ参考にしてください。

名器形成・Gショット

どちらもヴェアリークリニックで施術可能です。お困りの方は無料カウンセリングやLINEにて、ご相談ください。

名器形成

ヒアルロン酸を膣の粘膜下に注入することで、膣内の乾きや収縮の改善を期待できます。カウンセリング時に以下のような希望に合わせて、ヒアルロン酸の量や注入する場所を決めて施術いたします。

  • ご自身の感度を増したい
  • 乾燥による痛みを軽減したい
  • パートナー様により気持ちよくさせたい
  • 頻尿・尿漏れを軽減したい

また、注射だけの治療なので、痛みもほとんどなく、治療時間も短時間、ダウンタイムがほとんど要らないこともメリットです。日常生活でも乾燥からくる痛みが気になる方にもおすすめしています。

コラムバナー_名器形成

Gショット

Gスポットにヒアルロン酸を注入し、膨らませることで以下のことが期待できます。

  • 自身の感度を増す
  • 濡れやすくなる

どのくらい隆起させると十分な効果が得られるかは膣の状態によって個人差がありますので、注入量は事前診察の時にご説明いたします。こちらも名器形成同様、注射だけの治療です。治療時間もダウンタイムも短時間で、痛みも少ない施術であるため、後述する潤滑剤を使用しても痛いという方にもおすすめしています。

コラムバナー_Gショット

潤滑剤の利用

性行為の度に塗ることが手間になりやすいですが、うるおいを補い、挿入を滑らかにしてくれるので、潤滑剤もおすすめしています。「ローションとはどう違うの?」というお声もいただきますが、ローションはマッサージでの使用を想定して作られたアイテムです。
そのためローションを性行為で使用すると、

  • 油分が多いためシャワーで流しても落ちにくい
  • 敏感肌の方はお肌にトラブルが出る可能性がある
  • ヌルヌルとした感触が気持ち悪い

などの問題が起こることもあります。性行為の際は、うるおいを保つ機能を持った「潤滑剤・潤滑ゼリー」を選ぶようにしましょう。

ホルモン療法

更年期を迎えて減少していくエストロゲンを補充する療法です。当院での取り扱いはないのですが、更年期障害の根本治療を目的とした治療であるため、更年期の様々な不調に対してアプローチできます。ご自身の解決したいお悩みに合わせて、保険適用か自費診療かを選択すると良いでしょう。

まとめ

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膣の乾燥・収縮のお悩みは、更年期を迎えた女性からお聞きすることも少なくはありません。

  • パートナー様に申し訳ない
  • 痛いのを我慢している
  • パートナー様とぎこちなくなった

上記のようなお悩みがありましたら、悩みをお聞きして、患者様に合わせた改善や対策方法のご提案をいたします。ぜひ無料カウンセリングへお越しください。

この記事を監修した医師

ヴェアリークリニック院長

井上 裕章

医師プロフィール

2014年東京大学医学部卒業。外科専門研修を修了、外科専門医を取得を経て、2019年に東京大学医学部附属病院にて勤務。性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を専門とする外科診療に従事してきた。その過程で下半身の美容的な悩みを抱える患者さんから相談が多く寄せられるようになるが、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関が存在しないことを知る。自身で立ち上げるために各分野の美容系クリニックにて修練を重ねたのち、2022年に「veary clinic」 を開院。自らの骨盤臓器と下肢に対する外科治療の経験および解剖の知識を生かしつつ、最善の治療を患者さんに提供している。日本外科学会認定外科専門医。日本外科学会、日本性機能学会、日本フットケア・足病医学会、日本大腸肛門病学会に所属している。