膣カンジダはうつる?主な原因と病状や治療方法について

2023.09.25

  • フェムテック

この記事を読んでいるあなたは

  • 膣カンジダが起こる原因について知りたい
  • 膣カンジダは移るものなのか
  • 膣カンジダになるとどうなるか

上記のように考えているかもしれません。

この記事ではそんなあなたに「膣カンジダはうつる?主な原因と病状や治療方法について」をお伝えしていきます。

膣カンジダは人にうつる?

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女性の約20%が経験すると言われている「膣カンジダ」。膣カンジダは感染症と言われているため、人にうつしてしまわないか心配される方も多いでしょう。ここでは、膣カンジダを人にうつしてしまう可能性について解説します。

膣カンジダはお風呂でうつる?

お風呂で膣カンジダがうつることはありません。同時にプールや温泉などの水中を通しての感染リスクは限りなく低いです。

ただし、膣カンジダの治療中はプールや温泉などの公共の施設へ行くのは控えましょう。後述しますが、膣カンジダが発症する原因には免疫の低下が関わっています。不特定多数の方が集まる場所は、様々な菌の温床となりうる場所です。免疫が低下している状態では、他の菌に抗えずに別の感染症を招きかねません。

膣カンジダは性行為でうつる?

膣カンジダは、性行為でパートナーに感染する可能性があるため注意が必要です。膣カンジダ症を発症している時に性行為を行うと、カップルでお互いにカンジダ症をうつし合って繰り返し発症し、俗にいう「ピンポン感染」が起こってしまうことがあります。

さらに、感染部位に炎症が出ていることもあるので、性行為で炎症を刺激してしまいかねません。カンジダ治療の効果が低下したり、状態を悪化させてしまうこともありえるでしょう。したがって、コンドームを着用するから大丈夫と思わずに、治療中は自分やパートナーのためにも性行為は控えることをおすすめします。

膣カンジダはタオルの共有でうつる?

膣カンジダ感染症を持つ人が使用したタオルを介して、パートナーにうつることもあります。使用後のタオルを共有しないようにしましょう。また稀ですが、シーツからもカンジダがうつることも考えられます。感染源となる可能性があるものは共有を避けて、清潔を心がけることが重要です。

膣カンジダになる主な原因

膣カンジダになる原因は、複合的な場合がほとんどです。原因としては以下のようなことがあげられます。

抗生物質の使用

抗生物質の使用は膣カンジダの原因として、大きなウエイトを占めています。膀胱炎などの尿路感染症を始めとする疾患を繰り返している女性も少なくはありません。膀胱炎の治療には、抗生物質を服用します。

この抗生物質は、治療対象の細菌以外にも人体に有益な細菌も殺してしまいます。しかも、薬の仕組み上、真菌であるカンジダには効果を発揮しませんし、おりものに含まれている乳酸菌の影響も受けません。そのため、おりものなどの分泌物にカンジダ菌が増えてしまい、膣内の菌のバランスは崩れるようになります。

免疫力の低下

免疫が低下する原因には、

  • ストレス
  • 寝不足
  • 疲労の蓄積
  • 過剰なダイエット
  • 乱れた食生活

などがあげられます。体が弱るとカンジダ菌が増えやすくなり、身体に悪さをするようになります。膣カンジダは免疫力が低下するような出来事が続くと、繰り返しやすい疾患です。また、妊娠中や産後も免疫力が低下しやすい時期でもあります。そうした時期にはより一層自身を大切にしてあげてくださいね。

ホルモンバランスの変化や乱れ

膣カンジダの発症リスクを高める可能性に、エストロゲンの過多が深く関わっています。エストロゲンは女性ホルモンの1つです。エストロゲンは生理周期に合わせて変化しているほか、ストレスや不規則な生活習慣などでもバランスが乱れて濃度が高まることがあります。

そうして、ホルモンバランスの変化や乱れが起こると、膣内のhpのバランスも変化や乱れが起こります。普段、膣内はおりものなどで弱酸性に傾き、バランスが保たれているものです。ですが、生理前や妊娠中、ホルモンバランスが乱れによってエストロゲンが高まると、膣内のhpが低下して酸性に傾きます。この時のhpの変化で膣内の菌のバランスが崩れてしまい、カンジダ菌が増殖しやすくなるのです。

また、ピルにはホルモンの状態を妊娠中と同様にする働きがあります。このことからピルの服用中は膣カンジダにかかりやすいとも言われています。

デリケートゾーンの高温多湿化

通気性の悪い下着の着用、おりものシートやナプキンなどの生理用品の長時間着用は膣カンジダを発症する原因となります。カンジダ菌は真菌、つまりはカビの一種です。カビは高温多湿の環境を好んで増殖するため、夏場の汗をかきやすい季節や生理期間中などには注意しましょう。

膣カンジダの主な病状

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膣カンジダが起こった時に女性の体で起こる主な症状をまとめてみました。医療機関へ行く際の参考にしてみてください。

おりもの

おりものが白くなったり、

  • 酒粕状
  • カッテージチーズ状
  • ヨーグルト状

と表現されるおりものに変化し、おりものの量も多くなります。悪化すると緑がかったおりものも出ることもあります。

<おりものについての詳しいコラム>
おりものの異常?疾患や生理周期による色・臭い・量の変化を解説

膣や膣の入り口

状態によっては夜に眠れなくなるほどの強いかゆみを感じたり、ヒリヒリとした刺激を感じるようにもなります。その他にも、

  • 皮膚が熱っぽくなる
  • 腫れが出る
  • 赤みが出るようになる

といった症状が出ることもあります。

排尿障害

膣カンジダになると、以下のような症状が出ることもあります。

  • 残尿感がある
  • 尿が近くなるもしくは出にくくなる
  • 排尿時に痛みが出る

そもそもカンジダとは?

コラム38-5

カンジダは真菌感染症の1つです。真菌由来の感染症というと、細菌やウイルスと比べて聞き慣れない方も多いかもしれません。ですが、真菌感染症は、みなさんが思っているよりも身近な感染症です。ここでは、言葉は知っているけど、詳しく知らないという方のためにカンジダについて解説したいと思います。

カンジダ菌とは?

カンジダ菌は、カンジダ属の真菌というカビの一種です。このカンジダ菌は、健康な体内にも存在している常在菌であるため、一般的にはその他の常在菌などとバランスを保ちながら共存しています。

実際、健康な体内では様々な細菌や微生物が共存し、それぞれの役割を果たして体の調子を整えています。ところが、そのバランスが崩れてカンジダ菌が増殖してしまうと、カンジダ症を引き起こす可能性が高くなるのです。

カンジダを起こす種類

カンジダ菌はありふれた真菌で種類も多いのですが、その中で病原性を有する種類は多くはありません。ここではカンジダを引き起こす代表的な種類を紹介しています。

カンジダ・アルビカンス

最も頻度の高い原因菌はカンジダ・アルビカンスとされています。古くから知られてきた真菌です。健康な人の体内のさまざまな場所に存在する常在菌とされ、主に消化器官などに生息しています。

カンジダ・グラブラータ

原因菌としては稀です。カンジダ・アルビカンスと比較すると抗生物質や抗真菌薬に対する耐性が高く、治りにくくて治療が難しい場合があります。

カンジダ・クルセイ

カンジダを引き起こす原因としては、一般的ではありません。抗真菌薬はもともと効きにくい菌種で、治療が限定的になってしまいます。

カンジダ症の種類

前述の通り、カンジダ菌は体の中でも様々な部位にいるため、様々な種類のカンジダ症が存在しています。カンジダの種類には次のようなものがあげられます。

  • 性器カンジダ症
  • 皮膚カンジダ症
  • 口腔カンジダ症
  • 消化管カンジダ症
  • 全身性カンジダ症

これらのカンジダ症は、病状などによって治療法が異なります。幸いにも、現代では医学や生物学の分野で広く研究され、カンジダは治療法が確立されています。もし、カンジダ感染症の症状が現れた場合、早めに医療機関で相談することが大切です。

女性はカンジダにかかりやすい?

「産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編2020」によると、カンジダは「75%の女性が生涯で少なくとも 1 回は罹患する」と言われています。女性が罹患しやすい理由としては以下のことが考えられます。

  • ホルモンバランスの変化
  • 膣内環境の変化
  • 膣内カンジダ保菌率が非妊婦約15%、妊婦30%
  • 性器の構造

ホルモンバランスは生理周期や妊娠・出産などでも変化します。その変化によって膣内環境が変化して、膣内の菌のバランスが崩れます。

また、カンジダは「自己感染」であることによるものがほとんどです。というのも、もともと膣内にはカンジダ菌が存在し、妊娠されていない方でも15%、妊娠されている方だと30%ほど存在しています。

参考:産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編2020
参考:日性感染症会誌 Vol. 19, No.1 Suppl. 2008  / ガイドライン 2008 性器カンジダ症

カンジダは性行為未経験者でもかかる

カンジダを性感染症と考える方もいらっしゃるでしょうが、実際には性行為をしたことない方でも発症します。特に女性は、前述のように発症しやすく、性行為が絡まない場合でも、カンジダにかかる可能性があることを知っておくことが大切です。

膣カンジダの治療方法

かかりやすい膣カンジダだから気になる治療方法。ここでは、膣カンジダの治療について詳しく解説しています。

膣カンジダは自然治癒はできる?

膣カンジダは病状が重くない場合には、自然治癒することもあります。膣には自浄作用があり、うまく働いていると増殖が抑えられるようになります。また、膣カンジダの原因となるものが取り除かれれば、症状が自然に改善する場合もあるでしょう。

ですが、我慢できないほどの痒みや痛みを伴う場合、自然治癒は期待できません。膣カンジダだと思っていたら、別の疾患が隠れていたということもあり得ます。上記のような症状が気になるようになったら、医療機関で治療を受けるようにしてください。

膣カンジダを治療せずに放置すると?

膣カンジダを放置し続けると、

  • 慢性化する
  • 全身性カンジダを発症する
  • 胎児が出産時に感染する

といったことが起こります。膣カンジダは再発も繰り返しやすい疾患です。自覚症状が出た時には積極的に治療するようにしましょう。

病院での治療

膣カンジダと診断された場合、抗真菌薬の内服または腟内投与を行なって治療します。外陰部のかゆみや赤みが強い場合には、クリームや軟膏などを用います。

膣カンジダの予防

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カンジダ菌は全身に生息しているため、完全な予防はありません。ですが、発症しにくくすることはできます。ここでは、日常生活でできる予防方法を紹介します。

デリケートゾーンの通気性よくする

デリケートゾーンの通気をよくするためには

  • サイズにゆとりのある下着を選ぶ
  • 天然素材できた下着を選ぶ
  • ストッキングやタイトなズボンを避ける

といったことがあげられます。デリケートゾーンが蒸れやすい環境ではカンジダ菌に限らず、菌が増えやすい状態になります。上記のような通気性のよい製品を選んだり、蒸れやすい製品を避けることで、その他のデリケートゾーンのトラブルを避けることができるでしょう。

生理用品をこまめに取り替える

生理用品をこまめに取り替えることで、高温多湿の状態を避けることができます。デリケートゾーンは意外と汗をかきますし、おりものや月経血で湿った状態になりがちです。生理用ナプキンやおりものシート、タンポンはこまめに取り替えましょう。

膣カンジダの治療中の性行為は控える

膣カンジダは性感染症ではありません。ですが、性行為を通してお互いに感染する「ピンポン感染」を起こすことがあります。

また、オーラルセックスを通して、口腔カンジダも発症することも考えられます。お互いにうつし合ってしまわないように、カンジダが発症した時には病院で治療を受けたり、性行為を控えるようにしましょう。

糖質を控える

以下のような食品には糖質が多く含まれていることもあるため、接種を控えることでカンジダの再発のリスクを下げられるでしょう。

  • 菓子類
  • 清涼飲料水
  • 果物
  • はちみつ
  • ファーストフード

もともとカンジダ菌はブドウ糖や果糖などがある環境では増殖しやすいとされています。治療中もなるべく控えられるとよいかもしれませんね。

ストレスを溜めないようにする

ストレスを溜めると、免疫力が低下しやすくなります。ストレスの原因を減らすことが難しい場合は、ストレスを解消する手段を増やしたり、短い時間でも自身の時間を増やしてみてください。現代人にはなかなか大変でしょうが、ストレスを溜めないように心がけましょう。

膣内を洗いすぎない

膣には自浄作用があり、雑菌や細菌が繁殖しないようになっています。ところが、膣内を洗いすぎるとこの自浄作用が崩れてしまいます。常にビデをする習慣やシャワーなどで膣内を洗う習慣のある方は、洗いすぎないように気をつけましょう。

まとめ

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膣カンジダは性感染症と勘違いされてしまいますが、自己感染する疾患です。それゆえに再発しやすく、すぐ治るからと放置される方もいらっしゃるでしょう。ですが、状態によっては放置して悪化することもあります。身近な疾患だからと放置せず、早めに受診して治療を受けるようにしましょう。

この記事を監修した医師

ヴェアリークリニック院長

井上 裕章

医師プロフィール

2014年東京大学医学部卒業。外科専門研修を修了、外科専門医を取得を経て、2019年に東京大学医学部附属病院にて勤務。性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を専門とする外科診療に従事してきた。その過程で下半身の美容的な悩みを抱える患者さんから相談が多く寄せられるようになるが、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関が存在しないことを知る。自身で立ち上げるために各分野の美容系クリニックにて修練を重ねたのち、2022年に「veary clinic」 を開院。自らの骨盤臓器と下肢に対する外科治療の経験および解剖の知識を生かしつつ、最善の治療を患者さんに提供している。日本外科学会認定外科専門医。日本外科学会、日本性機能学会、日本フットケア・足病医学会、日本大腸肛門病学会に所属している。