おりものの色・臭い・量が変化する原因は?生理周期や病気で起こる特徴も解説
2023.07.10
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女性器形成
この記事を読んでいるあなたは
- おりものって何?
- 急におりものが増える理由が知りたい
- 色や臭いが正常な状態ってどんな時?
上記のように考えているかもしれません。
この記事ではそんなあなたに、「おりものの色・臭い・量が変化する原因は?生理周期や病気で起こる特徴も解説」について解説します。
おりものについて
生理と同じくらい女性の体と密接に関係のある「おりもの」。それが何からできているか、役割は何かをご存知ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、おりものの正体や役割に触れてみたいと思います。
おりものとは?
おりものは、女性の膣口から分泌される粘液の総称です。文字通り、女性の体から「おりてくるもの」が語源で、専門的には「帯下(たいげ)」と言います。おりものには、子宮頸部や子宮内膜、膣壁、皮脂腺、汗腺などからの分泌物や老廃物が含まれています。
おりものの役割
おりものには以下のような役割があります。
- 自浄作用
- 受精のサポート
- 膣内の潤いを保つ
細かく紹介していきます。
自浄作用
膣は排泄器官が近いことや体外に接していることから、膣内に様々な雑菌や病原体が侵入しやすい構造です。おりものは、そうしたものから膣や子宮へ侵入するのを防ぎ、膣内の汚れや老廃物を排出する役割があります。
また、雑菌に侵入されても、おりものは膣内での繁殖を防ぐこともできます。おりものによって膣内が酸性に保たれているためです。そうして侵入してきた雑菌などもおりものとともに体外へと排出されるので、膣内は清潔に保たれます。
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受精のサポート
受精するためには、卵子と精子が出会う必要があります。しかし、精子は通常、弱酸性の膣内で長く活動することはできません。精子がアルカリ性で、酸性の環境下では死滅してしまうためです。
ところが排卵期になると、粘り気を持ったアルカリ性のおりものが分泌されるようになります。このおりものが精子を酸性の環境から守り、精子が卵子へ辿り着けるようにサポートします。
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膣内の潤いを保つ
おりものには、膣内の潤いを保つことで、粘膜を保護する役割があります。潤いが減少すると以下のような不快感を感じやすくなります。
- かゆみ
- ヒリつき
- 炎症
- 性交痛
膣内が乾燥すると膣粘膜は収縮したり、薄くなるのでトラブルが起こりがちです。
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正常なおりものの色や臭い
正常なおりものの色は以下の通りです。
- 無色透明
- 白色
- 薄い黄色
臭いに関しては、酸性なので酸っぱい臭いが一般的とされています。
おりものの量が増減する原因
ライフサイクル内や日常生活でおりものの量が増減する理由は以下の通りです。
- 生理周期
- 年齢
- 妊娠
- 過労やストレス
- 洗いすぎ
ここでは、それぞれでおりものが増減する原因について触れていきたいと思います。
生理周期による増減
女性の体は1ヶ月で女性ホルモンのサイクルがあり、
- エストロゲン(卵胞ホルモン)
- プロゲステロン(黄体ホルモン)
これらの量が変化していくことで、排卵や月経が起こるようになっています。もちろん、おりものもホルモンバランスに連動しており、サイクル内で量に変化が出ます。
卵胞期
月経が終わった頃から1週間程度の期間を指します。この時期のおりものは、見た目は経血が混じっていることから茶色〜褐色で量は少なく、サラサラとした状態です。
排卵期
排卵期では、卵胞期後半から増えてきたおりものの量がこの時ピークを迎えます。おりもの状態は透明で粘り気が強いものへ変化して、指で伸ばすと糸を引くようになります。
また、時折血が混じることもありますが、大体は「中間期出血」という生理現象で、過度に敏感になる必要はありません。
黄体期
排卵日から月経が始まるまでの時期を指します。おりものの量は排卵後、徐々に減っていきます。色は白濁でドロっとした状態かつ臭いの強い状態であるため、不快に感じる方が多い時期かもしれません。
年齢による増減
年齢によっても女性ホルモンの量が変化するため、おりものの量にも変化が出ます。
幼児期
思春期前はほとんどおりものは分泌されません。よって、この頃に発生するおりものは、感染性膣炎である場合があります。要因として、排便や排尿後にトイレットペーパーでうまく処理できないことや好奇心から膣周辺を触ることがあげられます。清潔に注意していれば心配はありません。
思春期
女性ホルモンの働きによって、初経の約1年前からおりものが分泌され始めると言われています。しかし、女性ホルモンの分泌が不安定であるため、おりものも量や色が不安定になりがちです。
性成熟期
女性ホルモンの1種であるエストロゲンの分泌のピークを迎えると、おりものの量も増えるようになります。個人差はありますが、20代後半から30代前半くらいがもっとも分泌量の多い時期です。
更年期
閉経前後5年を更年期と言います。更年期では、女性ホルモンの分泌は波を繰り返しながら徐々に低下、それに伴っておりものの量も減少することが一般的です。おりものの量が減少することで、感染症や炎症を起こしやすくなります。
老年期
閉経後になると、おりものはほとんど分泌されなくなります。そのため、おりもの量が増えたり、おりものの臭いが気になる場合は異常が起こっている可能性が高いでしょう。
妊娠よる増減
妊娠初期ではおりもの量に大きな変化はみられません。ですが、妊娠週数が進むとエストロゲンの分泌量が増えていくため、おりものの量は増加していきます。この時、おりものの量が増える理由として、胎児を守る役割があるとされています。
また、おりものの状態は、粘り気のないサラサラとしたものであることが基本的です。生理が始まらず、その状態が長く続くことで妊娠に気づかれる方もいらっしゃるでしょう。
過労やストレスによる増減
過労やストレスが重なると、以下のような原因でおりものが増加する可能性があります。
- ホルモンバランスが乱れる
- 免疫力が落ちる
おりものは女性ホルモンの影響を受けて分泌されるので、ホルモンバランスが崩れるとおりものの量も増減します。また、風邪などになって免疫が落ちると炎症を起こすこともあるので、自浄作用によって一時的におりもの量が増えることもあります。
洗いすぎによる増減
洗いすぎると膣内のバランスが崩れて、おりものが増えることもあります。お風呂で必要以上に洗ったり、ビデや洗浄液で洗いすぎることが原因です。臭いや見た目が気になるからといって、必要以上にケアをしないように気をつけてください。
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おりものの異常
「おりもの=汚いもの」や「下着が汚れて煩わしい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、おりものは自身の健康状態を示すバロメーターです。日々の健康状態をチェックして体を守るためにも、ここではおりものの状態についてチェックしてきましょう。
おりものの量
おりものシートでは足りずに月経用ナプキンを使用するレベルになると、おりものとしては量が多すぎるかもしれません。中にはズボンに染みてしまう方もいらっしゃいます。
ライフサイクル以外でおりものの量が増える原因として、感染症や炎症が起こっていることがあげられます。自浄作用のためにおりもの量が増えるので、いつもより多いなと感じたらおりものシートを頻繁に交換するなど、清潔を保つようにしてみてください。
おりものの色
おりもの色で要注意な色は、以下の通りです。
- 濃い黄色
- 黄緑色
- 灰色
また、生理中もしくはその前後以外では、以下の色には注意が必要になります。
- 茶褐色
- 茶色
- 薄い茶色
- ピンク色
体に不調が起こってる可能性が高く、疾患以外だと妊娠の可能性も考えられます。気になる場合は早めに産婦人科で相談しましょう。
おりものの臭い
おりものは酸性によりなので酸っぱい臭いがしますが、以下のような臭いがする場合は異常のサインを体が発している可能性があります。
- 膿のような臭い
- 腐った魚のような臭い
- 生臭い(イカ臭い)
また、疾患以外だとストレスなどで免疫が落ちていると、いつもとは違う臭いがすることもありえます。雑菌が侵入、繁殖している可能性があるので、長期化してる場合は治療が必要になるので、産婦人科で相談しましょう。
おりもののセルフチェックで分かる疾患・病気
おりもので分かる、体の内側からの治療が必要になる疾患をまとめてみました。セルフチェックして、体からのサインに気づくようにしましょう。下記の症状が気になる際は、産婦人科へ相談することをおすすめします。
臭い | かゆみ | 色・特徴 | |
子宮頸管ポリープ 子宮腹部びらん 子宮頸がん初期 |
気にならない (臭うこともあります) |
かゆくない | 茶色 赤色 |
子宮頸管炎 萎縮性膣炎 クラミジア 淋病 |
かゆい (かゆみの出ない時もあります) |
濃い黄色 黄緑色 茶色 |
|
膣カンジタ | クリーム色 カッテージチーズ状 |
||
細菌性膣炎 子宮頸がん 子宮体がん |
気になる | かゆい | 黄色 赤褐色 鮮血が混じる |
膣トリコモナス | かゆくない | 黄色 黄緑色 泡立ち、悪臭 |
異常の原因①子宮頸管ポリープ
子宮の入り口である頚管にポリープができる疾患です。ポリープの多くは直径1cm未満で、キノコ状の見た目をしています。性交渉や排便時のいきみ、運動などで出血しやすいため、おりものにもその血が混じりやすくなります。良性の腫瘍であることから放っておいても問題はないとされています。
しかし、受精卵の着床を妨げることもあるため、将来的に妊娠を望む場合は切除することが望ましいでしょう。
異常の原因②子宮腹部びらん
子宮びらんは疾患というよりも生理的変化の一種です。実際に爛れているわけではなく、びらんしているように見える状態で、8〜9割の女性にみられます。
治療を積極的にする必要はありませんが、
- おりものが多すぎる
- 膣炎になりやすい
- 不正出血が多くなる
などの自覚症状が出た際には、治療が必要です。
異常の原因③子宮頸管炎
病原菌が膣内に入り込むため、子宮頸管にできる炎症です。炎症を起こすきっかけとなった菌によっておりものの状態が異なります。自覚症状として、下腹部の痛みや不正出血、性交渉時に痛みや出血をともなうことがあります。
異常の原因④萎縮性膣炎
女性ホルモンの低下で膣が萎縮し、膣壁も薄くなるといった疾患です。閉経後になる方が多いため、老人性膣炎とも呼ばれています。乾燥によって雑菌が繁殖しやすく、膣炎を起こしやすくなるため、おりものが増加します。閉経以外でも、ホルモンバランスの乱れによって起こることが多いです。
【更年期】膣劣化。加齢に伴う膣の変化と対策とは?下半身美容専門医師が解説します。
異常の原因⑤クラミジア
性器クラミジアは子宮頸管に炎症を起こす細菌です。初期は水っぽいおりものが、進行してくると膿状の黄色いおりものが出るようになります。女性の場合、7〜8割の方が症状に気づきにくい疾患です。悪化することでようやく気づくこともあり、卵管炎や骨棒腹膜炎へ発展する場合もあります。
異常の原因⑥淋病
クラミジアの次に多い性感染症です。おりものが増えたり、濃い黄緑色になったり、臭いが強くなります。症状が軽いことが多く、クラミジアと同様に悪化することで気づくことが多いようです。卵管炎や子宮内膜炎を招く場合もあります。
異常の原因⑦膣カンジタ
膣の中にいるカンジダ菌が繁殖することで炎症が起こる疾患です。症状として、かゆみや不快感を感じる他、痛みを感じることもあります。おりものは他の疾患と比べると独特で、白く濁ってヨーグルトやカッテージチーズといった独特の表現をされます。
また、性感染症と勘違いされがちですが、厳密には性感染症ではありません。実際には「日和見感染症」で、ストレスなどが原因で免疫が低下することで起こり、性交渉がなくとも罹患することもあります。ですが、膣カンジタは性交渉で移るので、完治するまでは性行為は控えましょう。
異常の原因⑧細菌性膣炎
雑菌が異常に繁殖することが原因で起こる炎症です。普段は自浄作用で雑菌が繁殖しにくくはなっていますが、免疫が低下しやすい環境にあると、健康な状態では問題のない細菌が繁殖します。そのため、臭いがきつくなったり、雑菌を排除しようとおりものの量が増えてしまいます。
細菌性膣炎にかかるのは、
- 不衛生な前戯
- 膣内の洗いすぎ
- 子宮内避妊具の使用
- ストレス
- 睡眠不足
などといったことが原因です。膣内で炎症が起こっているので、その状態で性交渉をすると性交痛になったり、炎症が悪化して外陰部が腫れてしまうこともあります。
異常の原因⑨子宮頸がん・子宮体がん
子宮頸部もしくは子宮に悪性腫瘍(がん)ができる疾患です。初期症状として出血がみられることが多く、おりものにも混じりやすくなっています。さらに病状が進行すると、下腹部や腰が痛んだり、尿や便に血が混じってしまうこともあります。
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異常の原因⑩膣トリコモナス
トリコモナスと呼ばれる原虫が膣や子宮頸管に寄生する性感染症です。症状としては、膣内の激しいかゆみや外陰部が赤くただれが出たり、排尿時に痛みが出ることもあります。放置していると、不妊、流産や早産の原因となるので治療が必要です。おりものの状態は、泡立ったり、悪臭が出たり、黄色や黄緑色といったおりものが出るようになります。
また、膀胱や尿道へも感染することもあり、下着やタオル、便器や浴槽から感染する可能性があります。このように感染経路が多く、感染力の高い疾患であるため、性交渉の経験のない男女や子供が感染する可能性も否めません。
まとめ
おりものは体からのサインです。普段から自身の状態を把握しておくことで、違和感や不快感を感じた時の判断材料になります。気にしすぎる必要はありませんが、不安に思ったら産婦人科で相談するようにしましょう。
また、YouTubeの「下半身美容チャンネル(https://www.youtube.com/@vearyclinic)」でも女性器や男性器、デリケートな話題やみなさんからの疑問を取り上げていますので、ぜひご覧ください。