ED治療薬のジェネリックと先発の効果や安全性の違いを解説

2023.07.10

  • 男性器形成

この記事を読んでいるあなたは

  • ED治療薬のジェネリックと先発の効果の差が知りたい
  • ED治療薬にもジェネリックはあるのか知りたい
  • ED治療薬のジェネリックには危険はないのか

上記のように考えているかもしれません。

この記事ではそんなあなたに、「ED治療薬のジェネリックと先発の効果や安全性の違いを解説」について解説します。

ED治療薬各種の特徴

コラム29-2

ED治療薬は、勃起促進の効果が認められている薬剤です。ここでは、代表的なED治療薬の解説をしています。

バイアグラの特徴

バイアグラは、アメリカのファイザー社が開発した、世界初のED治療薬です。
日本ではバイアグラが1999年に製造販売承認を取得、販売されるようになりました。もともと狭心症の治療薬としての効果を期待されて開発されたものです。ですが、勃起を促す効果が認められたため、販売へ至りました。
効果が作用するまでは30分〜1時間ほどかかり、個人差はあるものの4〜5時間程効果が持続します。

<バイアグラの詳しいコラムはこちら>
バイアグラのEDへの治療効果や服用する際の注意点

シアリスの特徴

シアリスとは、日本新薬社が販売する、国内産ED治療薬です。
元々は日本イーライリリー社が開発・販売していましたが、後に日本新薬社へ販売を移管しました。薬の作用としては他ED治療薬と同じであり、陰茎の血管拡張を促し勃起をサポートします。
効果が作用するまでは1時間ほどと少し遅いですが、代わりに効果時間が最大36時間まで効き続けます。他のED治療薬のように性行為の直前に飲む必要はなく、好きなタイミングで服用できて、時間を気にせず楽しめることが特徴になります。

レビトラの特徴

レビトラは、ドイツのバイエル社が開発した、世界で2番目のED治療薬です。
バイアグラと成分は違いますが、同じ陰茎の血管を拡張させる効果があり、性的刺激を感じることで勃起をさせやすくします。
効果が作用するまでは15分〜30分ほどとかなり早く、即効性に優れたED治療薬になります。効果時間も5〜8時間程度と、バイアグラよりも持続時間が長いのが特徴です。

現在は製造中止されている

レビトラの販売元であるバイエル薬品から、2021年10月に販売中止の発表がされています。また、再生産の可能性も低く、日本で正規品を処方する医療機関はありません。
参考:バイエル薬品より レビトラ錠 販売中止のお知らせ

ED治療薬にもジェネリックはあるか

コラム29-1

国内で承認されているED治療薬といえば、バイアグラ、レビトラ、シアリスが挙げられるでしょう。これらのED治療薬にもそれぞれジェネリックは存在します。
また、日本では承認されていないジェネリックも海外には存在します。ですが、海外のED治療薬は安全性に問題があることが多く、服用はおすすめされていません。EDの治療には、厚生労働省が承認した、安全性の高い治療薬を利用してください。

バイアグラのジェネリック

バイアグラのジェネリックには、シルデナフィル錠があります。バイアグラの有効成分である「シルデナフィル」を名称としたジェネリックED治療薬です。2014年にバイアグラの特許切れに伴い、ジェネリック(後発)医薬品が販売されていました。

ジェネリックバイアグラ一覧

バイアグラのジェネリックは、複数の企業が販売しています。国内で承認された種類には25mgと50mgが存在し、医師の診断結果をもとに適切な量が処方されます。

  • 東和薬品株式会社:シルデナフィルOD錠50mg VI「トーワ」
  • キッセイ薬品工業株式会社:シルデナフィル錠25mg/50mg VI「キッセイ」
  • 富士化学工業株式会社:シルデナフィル錠25mg/50mg VI「FCI」
  • あすか製薬株式会社:シルデナフィル錠50mg VI「あすか」
  • 株式会社陽進堂:シルデナフィル錠50mg VI「YD」
  • 大興製薬株式会社:シルデナフィル錠25mg/50mg VI「DK」
  • シオノケミカル株式会社:シルデナフィル錠25mg/50mg VI「SN」
  • テバ製薬株式会社:シルデナフィル錠25mg/50mg VI「テバ」

参考:kegg

ジェネリックバイアグラの効果

服用から45分以上で効果がで始め、2〜4時間程度持続します。バイアグラと同様に空腹時で性交渉の1時間前くらいに服用すると、効き目が出やすくなります。食後に服用される際は、1〜2時間ほどあけて服用するとよいでしょう。

ジェネリックバイアグラの価格

ジェネリックバイアグラは、1錠50mgあたり900円〜1,300円ほどです。

シアリスのジェネリック

コラム29-10

レビトラのジェネリックには、タダラフィル錠が存在します。レビトラの有効成分である「タダラフィル」を使用したED治療薬であり、2020年から販売され始めました。

ジェネリックシアリス一覧

国内で承認された種類には10mgと20mgの2種類が存在し、複数の企業からタダラフィル錠が販売されています。

  • 沢井製薬:タダラフィル錠10mg/20mg CI「サワイ」
  • 大興製薬:タダラフィル錠10mg/20mg CI「あすか」
  • シオノケミカル:タダラフィル錠10mg/20mg CI「クラシエ」
  • リョートーファイン:タダラフィル錠10mg/20mg CI「ファイザー」
  • 江洲製薬:タダラフィル錠10mg/20mg CI「GO」
  • 辰巳化学:タダラフィル錠10mg/20mg CI「TCK」
  • 東和薬品:タダラフィル錠10mg CI「トーワ」

参考:kegg

ジェネリックシアリスの効果

服用から約1時間ほどで効果が現れ、その後36時間程度続きます。加えてシアリスは食事の影響を受けにくいため、そのジェネリックであるタダラフィル錠も服用のタイミングは難しくありません。

ジェネリックシアリスの価格

ジェネリックシアリスは、1錠20mgあたり1,400円〜1,700円ほどです。

レビトラのジェネリック

コラム29-3

レビトラのジェネリックには、バルデナフィル錠があります。バイアグラのジェネリックと同じであり、レビトラの有効成分である「バルデナフィル」がそのまま名称に使われています。

ジェネリックレビトラ一覧

国内で承認された種類には5mgと10mgと20mgの2種類が存在し、バルデナフィル錠が製造・販売されています。

  • 沢井製薬:バルデナフィル錠10mg/20mg「サワイ」
  • 東和薬品:バルデナフィル錠10mg/20mg「トーワ」
  • 富士化学工業:バルデナフィル錠5mg/10mg/20mg「FCI」

参考:kegg

ジェネリックレビトラの効果

性交渉の20〜30分前に服用することで効果が出て、服用してから5〜8時間ほど効果が持続します。レビトラと同じようにアルコールの影響を受けやすいので、服用の際は控えましょう。

ジェネリックレビトラの価格

ジェネリックレビトラは、1錠20mgあたり1,400円〜1,700円ほどです。

ジェネリックED治療薬の注意

コラム31-3

ジェネリックED治療薬にも注意があります。

海外製のジェネリック

国内のED治療薬のジェネリックについて紹介してきましたが、海外にもED治療薬のジェネリックはあります。ですが、海外製のジェネリックは国内未認証ものがほとんどです。医薬品としての品質や安全性に保証がなく、個人輸入の場合は偽造品である可能性もあるため、健康被害が出ることもありえます。

また、国内未認証の薬剤には「医薬品副作用救済制度」が適応されません。医薬品副作用救済制度は、医薬品の適切な使用によって重篤な健康被害が生じた場合、公的資金から治療費の一部を負担する制度です。こうした制度の利用ができないと、使用によって起こった健康被害は個人の責任となってしまいます。
リスクが大きいため、安価に入手できるからと手を出さないようにしましょう。

副作用・禁忌

ED治療薬のジェネリックにも副作用・禁忌があります。望まぬ副作用を避けるためにも問診票の設問や医師からの質問には正確に答えるようにしてください。

ジェネリックバイアグラ

副作用 一時的なほてり、紅潮、頭痛、動悸、消化不良、腹痛、眼充血、鼻づまりなど
禁忌 過去にバイアグラを服用してアレルギー反応を起こしたことがある方
過去6ヵ月以内に脳梗塞・脳出血・心筋梗塞を起こしたことがある方
心血管系障害のため、性行為が不適当と考えられる方
低血圧の方もしくは高血圧の方、またはそれらの治療による管理がされていない方
網膜色素変性症の方
重度の肝機能障害の方
アミオダロン塩酸塩を含む薬剤を投与中の方
硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を投与中の方
sGC刺激剤を投与中の方

ジェネリックシアリス

副作用 一時的な紅潮、消化不良、背筋痛、頭痛、鼻づまりなど
禁忌 過去にシアリスを服用してアレルギー反応を起こしたことがある方
過去6ヵ月以内に脳梗塞・脳出血を起こしたことがある方
過去3ヵ月以内に心筋梗塞を起こしたことがある方
心血管系障害のため、性行為が不適当と考えられる方
不整脈の方、または治療による管理がされていない方
低血圧の方もしくは高血圧の方、またはそれらの治療による管理がされていない方
網膜色素変性症の方
重度の肝機能障害の方
アミオダロン塩酸塩を含む薬剤を投与中の方
硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を投与中の方
sGC刺激剤を投与中の方

ジェネリックレビトラ

副作用 一時的なほてり、心悸亢進、頭痛、めまい、鼻づまり、消化不良、嘔気など
禁忌 過去にレビトラを服用してアレルギー反応を起こしたことがある方
過去6ヵ月以内に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞を起こしたことがある方
心血管系障害(心臓疾患など)のため、性行為が不適当と考えられる方
低血圧の方もしくは高血圧の方、またはそれらの治療による管理がされていない方
網膜色素変性症の方
重度の肝機能障害の方
重度の腎機能障害の方
不安定狭心症の方
硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を投与中の方
sGC刺激剤を投与中の方
チトクロームP450 3A4阻害剤を投与中の方
コビシスタットを含む薬剤を投与中の方
抗不整脈薬を投与中の方(先天性QT延長症候群の方)

ヴェアリークリニックでのED治療薬取り扱い

コラム29-8

ヴェアリークリニックでは、バイアグラのED治療薬を取り扱っています。

詳しいEDの治療方法は、こちら

そもそもジェネリック(後発)医薬品とは

コラム29-9

ジェネリック(後発)医薬品とは、厚生労働省が承認する新薬(先発医薬品)と同様の有効成分、品質、効果、安全性を持つ薬です。

新薬には20〜25年ほど特許期間がありますが、ジェネリックはその特許が切れた後に開発・販売されます。一概には言えませんが、元となる新薬から形状や副作用などが改善され、工夫が施されているものもあります。

ジェネリックにはどんな薬があるか

有名な薬からあまり耳にしない薬まで、特許の切れた新薬のほとんどにジェネリックは存在しています。

糖尿病のジェネリックだけでも

  • アカルボース(新薬:グルコバイ)
  • ピオグリタゾン(新薬:アクトス)
  • ナテグリニド(新薬:スターシス)
  • グリメピリド(新薬:アマリール)

など、それぞれにジェネリックは作られ、例にあげると同じ「グリメピリド」でも、販売企業の違う「グリメピリド」が複数存在しています。

なぜ安いのか

価格(薬価)が安いのは、元となる有効成分やその分量が判明しているためです。新薬の開発には数百億を超える場合もあり、薬の料金も開発費に合わせて高くなります。

ですが、すでに有効成分や分量が判明していると、新薬のように高い開発費用をかけて研究・開発する必要はありません。そのため、ジェネリックによっては新薬の6割程度の価格に設定されていることもあります。

ジェネリックと先発の違い

ジェネリックと聞くと「代用品」であるように勘違いする人は少なくはありません。「後発」であり値段も安いことから「汎用品」や「劣化品」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
また、ジェネリックに詳しくないと、服用に際して不安が残るかもしれません。ここではジェネリックと先発(新薬)にはどのような差があるのか、それぞれの要点を解説しています。

ジェネリック(後発)医薬品 新薬(先発医薬品)
品質 先発と同等の基準をクリア 薬事法の基準をクリア
開発期間 3〜5年 10〜15年
開発費用 安い 高い
薬価(価格) 先発と比べると安い 後発と比べると高い

効果

効果による違いは、ジェネリックと先発、どちらもほとんど違いはありません。同じ有効成分を使用していますので、服用した時の効果も同様に得られるでしょう。
しかし、添加物などで厳密にはまったく同じ薬ではありません。先発と比べジェネリックの効果が薄い方もいれば、逆に先発よりもジェネリックの方が効果がある方もいらっしゃいます。どのような処方をするかは、問診や経過観察などによる医師の判断が必要になります。

形状

同じ有効成分を使用していても、ジェネリックになると形状や色が変わる場合もあります。ジェネリックは服用のしやすさも研究課題の一つとなっており、服用する人のことを考え工夫しているためです。これらの変更は効き目や安全性に問題のない範囲で行われています。

安全性

安全性に関しても、ジェネリックと先発薬にほとんど違いはありません。ジェネリックと先発で同じ有効成分を使用しているため、副作用もほとんど同じになります。ですが、添加物のアレルギー反応が出ることもありえます。逆に先発では副作用が生じたけど、ジェネリックでは問題がなかった(または逆の場合)といった症例も実際にありますので、しっかりと医師の判断に従うようにしてください。

また、同じ有効成分であっても、海外製ジェネリックには有効成分を過剰に入れすぎた商品もあります。より安全にジェネリックを服用するためにも、厚生労働省が承認したジェネリックのみを使用してください。

価格

値段に関しては、先発よりもジェネリックの方が安くなります。先述のように、新薬の6割程の設定もありますが、概ね約2〜5割程度に設定されているためです。よって、長期間にわたり服用する必要がある方や複数の薬を服用される方には、先発かジェネリックかで金額面において差を感じる方もいらっしゃいます。

ED治療薬のジェネリックについて

コラム31-3

風邪薬や糖尿病の治療薬にジェネリックがあるように、EDの治療薬にもジェネリックは存在します。

  • シルデナフィル錠(新薬:バイアグラ)
  • バルデナフィル錠(新薬:レビトラ)
  • タダラフィル錠(新薬:シアリス)

ジェネリックといっても、その効果は新薬とは変わらず、むしろ値段が安くなることで購入しやすくなっています。もし、処方されてもジェネリックであることに不安を持たず、処方されても安心して服用するようにしてください。

この記事を監修した医師

ヴェアリークリニック院長

井上 裕章

医師プロフィール

2014年東京大学医学部卒業。外科専門研修を修了、外科専門医を取得を経て、2019年に東京大学医学部附属病院にて勤務。性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を専門とする外科診療に従事してきた。その過程で下半身の美容的な悩みを抱える患者さんから相談が多く寄せられるようになるが、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関が存在しないことを知る。自身で立ち上げるために各分野の美容系クリニックにて修練を重ねたのち、2022年に「veary clinic」 を開院。自らの骨盤臓器と下肢に対する外科治療の経験および解剖の知識を生かしつつ、最善の治療を患者さんに提供している。日本外科学会認定外科専門医。日本外科学会、日本性機能学会、日本フットケア・足病医学会、日本大腸肛門病学会に所属している。