以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが望まれます。
・片側だけに新しく陥没が出現した
・短期間で陥没が進行して目立つようになった
・乳頭から血の混じった分泌がある
・皮膚がえくぼ状に引きつれる
・強い痛み・発熱・排膿を伴う炎症が続いている
また、妊娠中や授乳期に赤ちゃんの吸着がうまくいかない場合も、産科や乳腺外来で支援を受けることで改善が期待できるため、早めに相談することが推奨されます。
2025.09.29
バスト形成
この記事を読んでいるあなたは
上記のように考えているかもしれません。
陥没乳頭は、乳頭が外に突出せず乳輪側へ引き込まれている状態で、医学的には「内反乳頭」とも呼ばれます。
見た目の問題に加え、溝に汚れが溜まりやすく清潔保持が難しい
においやかゆみなどの不快感、炎症の原因になりやすい
授乳時のトラブル(赤ちゃんが吸いつきにくい、乳汁うっ滞など)につながる
なお、乳頭が平らなだけで引き込まれていない「扁平乳頭」とは異なります。陥没乳頭には、軽い刺激で一時的に出る仮性と、強い刺激でも出にくい真性があり、対応方法が異なります。保存的ケアで改善することもありますが、形態や機能の改善を目的に手術が選択される場合もあります。まずは、自分の状態を正しく理解し、適切な医療機関で評価を受けることが大切です。
陥没乳頭は大きく真性と仮性に分けられます。
仮性陥没乳頭
指で軽くつまむ、冷刺激を加える、吸引器具を使用するなどで一時的に乳頭が突出することが多く、日常のケアや保存的な対処で改善が期待できます。
真性陥没乳頭
こうした刺激でも乳頭が出にくく、授乳時に支障をきたすことや、突出しても再び引き込まれる「再陥凹」のリスクが高いため、手術治療を検討することが少なくありません。
これらの見分けはあくまで目安であり、最終的な診断は医師の診察によって行われます。
陥没乳頭には先天性と後天性があります。
先天性
乳管が短い、あるいは乳腺の発育とのバランスが不十分といった要因が指摘されており、思春期以降に目立つようになることもあります。
後天性
乳腺炎や乳管炎の反復、乳輪下膿瘍、外傷や手術後の瘢痕、長期間の強い圧迫などが関与するとされます。
特に、片側だけに新たに陥没が出現した場合や、短期間で進行する場合には、乳腺の病気が隠れている可能性もあるため、早めに乳腺外来での評価が推奨されます。
陥没乳頭の症状としては、授乳時に赤ちゃんが乳頭をうまくくわえられず、授乳時間が長引いたり、乳汁がうっ滞して痛みや発熱を引き起こしたりすることがあります。また、陥没部には汚れがたまりやすく、におい・かゆみ・炎症といった不快な症状が生じることもあります。症状が悪化すると、乳輪下膿瘍や乳腺炎などの感染症に進展する可能性もあります。
発赤・腫れ・強い痛み・発熱・排膿などのサインがみられる場合は、放置せず早めに医療機関を受診することが大切です。
自分で確認する際には、乳頭を軽くつまむ、冷刺激を与える、入浴後にやさしく保湿するといった場面で、一時的に突出するかどうかが目安となります。 また、片側か両側か、最近の変化があるか、陥没部の清拭が難しく汚れが溜まりやすくなっていないか、といった点も参考になります。
受診時には、発症した時期、妊娠や授乳の経験、炎症を繰り返していないか、片側のみで進行していないかなどが問診で確認されます。 視診・触診によって、真性か仮性かの判別の目安、癒着の程度、衛生状態などが評価され、必要に応じて画像検査で乳腺内の病変の有無や炎症の広がりを調べることもあります。 診療科は主に形成外科や乳腺外科が担当しますが、授乳中や産後の悩みがある場合には、産科や母乳外来と連携して診療が行われることもあります。
軽症から中等度の仮性陥没乳頭では、保存的な対処で改善が期待できます。 代表的な方法としては、
・乳頭周囲のやさしいマッサージ
・専用の吸引器具の使用
・ニップルシールドの活用
などがあり、継続して取り組むことが大切です。
効果が現れるまでには数週間から数か月を要することがあり、その途中で痛みや炎症の兆候が見られた場合には中止して医師に相談する必要があります。
なお、妊娠後期には乳頭刺激が子宮収縮を誘発するおそれがあるため、無理をしないことが望まれます。保存療法で十分な改善が得られない場合、あるいは再陥凹を繰り返す場合には、手術治療が選択肢になります。
陥没乳頭の手術は、乳頭を引き込んでいる索状の組織を丁寧に解除し、乳頭が立ち上がった形を保てるように固定することが基本となります。 将来の授乳を考慮し、可能な限り乳管を温存する方針が一般的です。 多くは局所麻酔下で日帰り手術として行われ、術式や状態にもよりますが、比較的短時間で終了します。
術後は腫れや内出血が数日から1週間程度続くことがあり、医療機関の指示に従ってドーナツ状の保護材などを使用し、形態を保持する期間が設けられます。 出血や感染、感覚の変化、再陥没といった合併症の可能性はゼロではありませんが、術後のケアを適切に行うことでリスクを抑えることができます。
なお、妊娠や授乳の予定がある場合には、手術の時期や術式の選択について事前に医師と十分に相談することが重要です。
真性の陥没乳頭では授乳に支障が生じやすいため、妊娠を考える段階や妊娠初期のうちに医師へ相談しておくと安心です。手術を行う場合には乳管の温存が重視され、将来の授乳に配慮した術式が選択されます。
出産後に乳腺炎を繰り返す場合には、排乳を促進するための抱き方や吸着の工夫、母乳外来でのサポートが有効となることがあります。 妊娠後期には乳頭刺激を避けるのが一般的であり、無理のない範囲で清潔保持を中心としたケアを続けることが推奨されます。このように、陥没乳頭手術は授乳への影響を考慮した上で術式が選ばれるため、将来の授乳に備えて早めに相談・検討することが大切です。
日常生活では、シャワー時に泡立てた洗浄料でやさしく洗い、しっかりとすすいで清潔を保つことが基本です。入浴後は水分をよく拭き取り、摩擦や強い圧迫を避けるよう注意しましょう。
手術後は、医師から保護材の装着方法や交換手順、清潔管理について具体的な指示が出されます。自己判断で期間を短縮したり省略したりせず、定められた方法を守ることが再陥没の予防につながります。
また、強い痛み・発赤・腫れ・発熱・排膿などの症状が現れた場合には、感染や合併症の可能性があるため、放置せず早めに医療機関へ相談することが大切です。
陥没乳頭は見た目の問題にとどまらず、衛生管理のしづらさ・授乳の困難・感染リスクなど、生活の質に直結する重要なテーマです。真性と仮性では対処法が異なるため、自己判断に頼らず、医師による専門的な評価を受けることが大切です。
保存的なケアで改善が期待できる場合もあれば、乳管を温存しながら行う手術が適切とされる場合もあります。治療にあたっては、費用や保険適用の有無に幅があるため、事前に方針と見積もりを確認し、納得したうえで選択することが望まれます。
また、片側に新しく出現した場合・短期間で進行している場合・炎症の兆候がある場合には、早めに受診して安全を確認することが重要です。
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