抜糸のあり・なしはどう違う?痛みや抜糸までの期間とケアについて解説

2024.09.24

  • フェムテック

  • 女性器形成

この記事を読んでいるあなたは

  • 縫合が必要な施術の術後ケアについて知りたい
  • 抜糸のあり・なしは何が違うの?

上記のように考えているかもしれません。

縫合が必要な施術の術後ケア

施術が終わったからといって、そこですべて終わりとなるわけではありません。傷跡が綺麗に仕上がるためには自宅でのケアも重要になってきます。ここでは自宅でできることをいくつか紹介していくので、ぜび実行してみてください。

清潔を保つ

清潔を保つために生理用品やおりものシートはこまめに取り替えるよう心がけてください。できればトイレへ行く度に交換し、少なくとも2〜3時間に1回は交換することをおすすめしています。

また、排泄後はデリケートゾーン用のウエットティッシュなどで拭き取ると、傷口の負担が少なく済みます。デリケートゾーンを拭く際はウエットティッシュでも、乾いたトイレットペーパーでもゴシゴシと擦るのではなく、ぽんぽんと優しく抑えるように拭くようにしましょう。

なるべく安静に過ごす

安静に過ごすといってもどのように過ごすべきか分からない方もいらっしゃるでしょう。抑えてもらいたいポイントをご紹介します。

  • 長時間歩行しない
  • 階段よりもエレベーターやエスカレーターを使用する
  • 重いものを持つことは最小にする
  • トイレで長時間いきまない
  • ウォシュレットを使用する際は水圧を弱めにする
  • できれば仕事は翌日以降に復帰する
  • 患部を洗う際は擦らない

意外と術後の痛みがなくて、せっかく外出したなら色々見ていこうとする方も中にはいらっしゃいます。ですが、術後は傷の回復のためにも早めに帰宅して休息を取るようにしてください。可能ならば買い物は少量で済ませられるようにしたり、事前に準備して控えて安静に過ごすことをおすすめします。

喫煙や飲酒を控える

傷の治りが悪くなるので、喫煙や飲酒は控えてください。控える期間は長いほど良いとされ、特に喫煙は術前2週間前〜術後1ヶ月くらい控えることで麻酔が効きにくくなるなどのリスクが軽減されます。より安全に施術を受けていただくためにも、回復を早めるためにも禁煙をしましょう。なお、電子タバコも同様です。

飲酒は炎症や腫れ、内出血が強く出るリスクがあります。よって、術後〜抜糸もしくは1週間は禁酒していただき、それ以降は量を控えての飲酒を推奨しています。痛みや腫れを抑えるためにも、飲酒を控える期間は長めに取ることが望ましいでしょう。

過度な乾燥

過度な乾燥や摩擦による刺激は傷の治りを遅くするだけでなく、仕上がりにも差が出ます。綺麗な仕上がりにするためにも処方した塗り薬を塗布したり、白色ワセリンを薄く塗ることで過度な乾燥を防ぎましょう。塗布や塗り直しを行う際は清潔にしてから行って欲しいのですが、この工程に慣れない方も多いです。施術の翌日をお休みにしておくことで、しっかりとケアができます。

そもそも抜糸のあり・なしはどう違う?

抜糸のあり・なしでは、

  • 使用する糸
  • 縫合方法
  • 症例

といった項目が、どのように異なるのかを解説します。

使用する糸

抜糸のあり・なしでは使用する糸も異なり、抜糸ありは溶けない糸(非吸収性縫合糸)、なしは溶ける糸(吸収性縫合糸)を使用します。

溶けない糸(非吸収性縫合糸) 溶ける糸(吸収性縫合糸)
抜糸 必須 基本的には必要ない
性質 体内で吸収されない 体内で吸収される
素材 ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、

PVDFなど

ポリグリコール酸(PGA)、PLA/PCLなど
特徴 感染症に強い 切開された組織が結合しやすい

縫合方法

ざっくり言うと、

  • 抜糸あり:表面に結び目が見える縫合
  • 抜糸なし:皮膚の中に結び目が埋没する縫合

このように施術しています。

抜糸ありは皮膚の外側(表皮)を縫って、傷口を寄せる縫合方法です。1つずつ結び目を作っていく結節縫合や結び目が縫い始めと縫い終わりになるように連続して縫う連続縫合とあります。

症例

抜糸のあり・なしの症例を下記からご覧いただけます。それぞれの縫い方から経過、仕上がりを見て、選択してもらえたらと思います。

抜糸ありとなしの比較

切除や手術において、抜糸のあり・なしの治療メニューがあります。当院でも抜糸あり・なしの治療メニューを用意していますが、選ぶ上で悩まれる患者様もいらっしゃるでしょう。患者様にとって重要な選択となるため、「どちらがよいか?」というご質問をよく頂戴します。ここでは婦人科形成や男性器形成において抜糸のあり・なしを選択する上で基準となるような内容について触れて行きたいと思います。

傷跡や仕上がり

「抜糸なし」の方が、早期に綺麗な仕上がりになります。抜糸なしは埋没縫合といって、いわゆる柔らかさやハリ、弾力の源とされている真皮を縫合して糸を皮膚の中に埋没させる術式です。皮膚の内部をしっかりと丁寧に寄せるため、

  • 出血や術後の痛みも少ない
  • 傷の治りが早め
  • 傷跡が目立ちにくい
  • ひきつれが起こりにくい

といったメリットがあります。もともとデリケートゾーンは血流がよいので傷になりにくく綺麗に仕上がるのですが、より早期の仕上がりにこだわりたい方には抜糸なしをおすすめしています。ただし、半年や1年後の仕上がりには大きな差がないことが多いです。

施術時間

「抜糸あり」の施術時間は短いです。これは縫合方法が異なるために起こります。前述の通り、抜糸なしは埋没縫合といって皮膚の内部を縫合するため、縫合時間が長くなりがちです。縫合時間は施術内容によって異なるため、カウンセリング時にお聞きください。

術後の痛み

「抜糸なし」の方が痛みは楽になると思います。というのも抜糸ありは傷が浮腫んだり、腫れてしまうと糸が皮膚表面に食い込んで痛みが伴います。そのほか施術にもよりますが、パンツや生理用品に糸が引っかかりやすいことも痛みの出る原因です。このため、抜糸するまでは痛みを感じやすいですが、抜糸さえしてしまえば痛みは少なくなります。

抜糸なしの場合は1ヶ月ほどじわじわと痛みます。しかし、抜糸なしと比べて痛みが少ないとされ、内部を縫合するので出血も少ないです。

通院の必要

「抜糸なし」は基本的に通院の必要はありません。

ですが、まれに自然に脱落せず、

  • 下着と擦れてチクチクする
  • 糸が食い込んで痛い
  • 炎症や化膿ができた

という事態が起こることもありますが、当院で施術跡を確認・処置いたします。術後のご不安なことや疑問は営業時間内にLINEや電話でお答えいたしますので、術後もご安心ください。

また、抜糸ありの場合は術後1週間を目処に抜糸のための来院が必要です。そのため、あらかじめスケジュールを調整しておかなければいけません。

費用

「抜糸なし」の方が費用が抑えられます。当院でも抜糸ありの方が高額になりますが、ほとんどの病院やクリニックでも同様に費用が高額になる傾向にあります。病院やクリニックによって費用には差があるので、しっかりと問い合わせや見積もりをもらうようにしましょう。

抜糸にまつわる疑問

抜糸なしを選びたい方にとって、ネックとなるのが抜糸時の痛みでしょう。

抜糸にどのくらい時間がかかる?

時間にして5〜10分程度です。

抜糸の痛みは我慢できる?

チクチクするくらいという方が多いですが、個人差はあります。

麻酔は使える?

麻酔の注射のほうが痛いことがほとんどなので、基本的には使いません。

抜糸までの期間はどのくらい?

7〜10日程度が一般的です。

抜糸が遅くなるとどうなる?

傷跡が治りにくくなり、目立ってしまうリスクがあります。

抜糸なしもあとで抜糸できますか?

縫い方によりますが、傷の内側に縫い目が来る場合は基本的にはできません。ただし、外にはみ出ている部分は除去することは可能です。

まとめ

コラム24-4

抜糸のありなしには、それぞれメリットや料金に差があります。施術を検討されている方は、カウンセリング時にしっかり擦り合わせて自身の理想を伝えてみてください。

この記事を監修した医師

ヴェアリークリニック院長

井上 裕章

医師プロフィール

2014年東京大学医学部卒業。外科専門研修を修了、外科専門医を取得を経て、2019年に東京大学医学部附属病院にて勤務。性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を専門とする外科診療に従事してきた。その過程で下半身の美容的な悩みを抱える患者さんから相談が多く寄せられるようになるが、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関が存在しないことを知る。自身で立ち上げるために各分野の美容系クリニックにて修練を重ねたのち、2022年に「veary clinic」 を開院。自らの骨盤臓器と下肢に対する外科治療の経験および解剖の知識を生かしつつ、最善の治療を患者さんに提供している。日本外科学会認定外科専門医。日本外科学会、日本性機能学会、日本フットケア・足病医学会、日本大腸肛門病学会に所属している。