避妊とは?男女別避妊方法の種類一覧から特徴や失敗率まで解説
2023.09.04
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フェムテック
この記事を読んでいるあなたは
- 避妊方法の失敗率について知りたい
- 各種避妊方法の特徴が知りたい
- 間違った避妊方法について知りたい
上記のように考えているかもしれません。
避妊とは?
避妊とは、性交後の受精または受精卵の着床を防ぐ方法や手段を指します。避妊そのものは、昔から行われてきてはいましたが、確実性に乏しく、妊娠してしまうことも多くありました。ここでは、近年普及した避妊具の目的や使用方法について解説します。
避妊の目的
現代では人間は生殖以外でも、愛情表現としてコミュニケーションの一環で性交渉をすることもあるでしょう。避妊は望まない妊娠や妊娠のリスクを減少させるために行われます。
また、コンドームのような避妊方法は、避妊だけでなく、性感染症を防ぐ役割もあります。
避妊方法の選び方
自身の性格や生活習慣などに合わせて選択しましょう。様々な方法や手段があるため、それぞれのメリット・デメリットを知りつつ、使用することが望ましいです。
また、今後子供を授かりたいか、授かりたいならいつ頃が良いかなども考慮すると良いでしょう。
男女別避妊方法の種類一覧
避妊方法や手段には、様々な種類が存在しています。ここでは日本国内で可能な男性主体の避妊方法、女性主体の避妊方法について解説します。
男性主体の避妊方法
男性主体の避妊方法は、あまり多くはありません。
- コンドーム
- 避妊手術
女性主体の避妊方法
女性主体の避妊具は、男性と比べると種類や選択肢が多いことが特徴です。
- ピル(経口避妊薬)
- アフターピル(緊急避妊薬)
- 子宮内避妊用具(銅付加IUD)
- ミレーナ (レボノルゲストレル放出IUS)
- ペッサリー
- 避妊手術
パール指数(避妊方法の失敗率)
パール指数は、特定の避妊方法の効果を評価するための指標です。100人のカップルに特定の避妊方法を1年間使ってもらい、そのうち妊娠した女性の人数を表しています。この指数が高ければ高いほど、避妊が失敗しやすい方法ということになります。
Block Quotation Examples
方法 理想的な利用※ 一般的な利用※※ 避妊をしない場合 85% 85% リズム法(オギノ式) 0.4~0.5% 24% コンドーム 2% 18% ピル(経口避妊薬) 0.3% 9% 子宮内避妊用具(銅付加IUD) 0.6% 0.83% ミレーナ 0.2% 0.2% 避妊手術(女性) 0.5% 0.5% 避妊手術(男性) 0.1% 0.15% ペッサリー 5% 21% ※理想的な使用:選んだ避妊法を正しく続けて使用しているにも関わらず妊娠してしまった場合
※※一般的な使用:選んだ避妊法を使用しているにも関わらず妊娠してしまった場合(経口避妊薬については、飲み忘れを含めた場合の失敗率)
参考:Contraceptive Technology,20 ed., Ardent Media, 2011 Table3-2
これらのパール指数は理想的な使用時のもので、
- ピルのように飲み忘れ
- コンドームが正しく着装できていない
といった避妊方法であれば、失敗の確率は上昇していきます。
また、表を見てわかるように避妊方法に絶対はありません。避妊の失敗率を上げたくない場合には、正しい使用方法を守ったり、複数の避妊方法を組み合わせて使用するとよいかもしれませんね。
各避妊方法の特徴や効果
上記では避妊方法ごとの失敗率について記述しましたが、ここではそれぞれの特徴や効果などについて解説したいと思います。
避妊具として出たが、避妊以外の用途で使用されることも増えてきています。そうしたことも踏まえて、避妊方法を選ぶ参考にしてください。
コンドーム
特徴
コンドームは、男性器に装着して使用する避妊具です。その原料にはラテックス製とポリウレタン製があり、以下のような特徴があります。
原料 | 特徴 |
ラテックス製 | 伸縮性があるため、使用感が良くコンドームの破損も防げる。 |
ポリウレタン製 | ラテックス製より強く薄いが、伸縮性はない。 ゴムアレルギーの方にも利用できるタイプ。 |
男性器のサイズに合うものを選ぶ必要があり、合わないものを選ぶと以下のようなトラブルが起こりやすいです。
- 挿入中に外れる
- 挿入中に破れる
- 装着時に痛みを感じる
メーカーさんや素材によって大きさの基準が異なるため、確認して選ぶようにしましょう。
効果
コンドームは避妊効果のほかに、性感染症の予防にも有効です。
使い方
①陰茎にあったサイズを選ぶ
②勃起時に正しく装着
③先端に精液が入ったら、取り除く
④行為を続ける際は、一度洗ってから着用する
ピル(経口避妊薬)
特徴
ピルは、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2種類の女性ホルモンを主成分とした薬剤です。一般的には、経口避妊薬(OC)と認知されている錠剤を指します。水またはぬるま湯で服用するものですが、他の薬と違って毎日同じ時間に服用することが重要です。決まった日数の間で服用して、一定期間で薬を休む(休薬期間)を過ごしてから再び服用します。
ピルは、手軽に始められやすく、現在では安全性も高いことから世界でも使用者が多くいます。歴史は古く、改良を重ねられているため、ピルには下記のような分類があります。
用量別(下に行くにつれて、ホルモン含有量が減る)
用量別 | 特徴 |
高用量 | 副作用が強いので、現在では使用されていない。 |
中用量 | 生理をずらすために使用されているが、副作用は強め。 |
低用量 | 副作用が少なめなので、避妊目的では使用者が多い。 |
超低用量 | 避妊効果はない。生理痛やPMS改善のために使用される。 |
世代別(下に行くにつれて、世代が新しくなる)
世代別 | 使用された黄体ホルモンの種類 |
第1世代 | 「ノルエチステロン」を使用したピル |
第2世代 | 「レボノルゲストレル」を使用したピル |
第3世代 | 「デソゲストレル」を使用したピル |
第4世代 | 「ドロスピレノン」を使用したピル |
段階別(下に行くにつれて、1ヶ月の摂取ホルモン量が減る)
段階別 | |
1相性 | 1シート全てに同量のホルモンが含まれている |
2相性 | 1シート全てに2種類のホルモンが段階的に含まれている |
3相性 | 1シート全てに3種類のホルモンが段階的に含まれている |
休薬期間中は偽薬を服用するタイプの製品(28錠タイプ)もあります。偽薬は有効成分が含まれておらず、次のシートの飲み忘れ防止と時間のクセ付けのためのものです。偽薬がないタイプの製品(21錠タイプ)もあり、こちらは休薬期間を自分で覚えている必要があります。
効果
避妊失敗の確率は、0.3%とミレーナの次に少ないです。
また、避妊以外にも、PMSの改善やニキビ・肌荒れの改善など女性特有の疾患に対しても効果が期待できます。
<低用量ピルについての詳しいコラム>
低用量ピルの種類と避妊効果・注意すべき副作用について解説
使い方
①医療機関で処方してもらう
②1日1回、決まった時間にピルを服用する
③有効薬を飲みきったら休薬する(薬の服用を休む)
アフターピル(緊急避妊薬)
特徴
緊急避妊薬は、「アフターピル」や「モーニングアフターピル」とも呼ばれています。妊娠阻止率は72時間以内の服用で約70%以上です。ただし、必ずしも成功するとは限りません。あくまでも緊急時用です。
また、アフターピルの服用が早ければ早いほど、避妊の効果は高まります。このことからドラッグストアでの販売をして欲しいという声も高まっています。
ですが、服用をすることで副作用がない訳でもありません。アフターピルは女性の身体に負担が大きく、連続服用によってホルモンバランスが乱れやすくなります。
副作用として、
- 吐き気
- 下腹部が痛む
- 頭痛
- 眠気
などがあげられます。アフターピルの副作用の中で、吐き気には注意が必要です。服用したら薬の成分も一緒に吐き出してしまうので、なるべく我慢しなければなりません。万が一、服用してすぐに吐いてしまった場合には、処方してもらった医療機関へ相談するようにしましょう。
そして、先ほども記しましたが、アフターピルは緊急時用のものです。身体に負担が大きい薬ですので、頻繁に使用するようなことは控えましょう。
効果
排卵前であれば、「排卵を遅らせたり、抑制する」効果があります。また、排卵後であれば、「受精卵が着床するのを防ぐ」効果を期待できます。
<ピルの種類についての詳しいコラム>
ピルとは?その種類と特徴や副作用について解説
使い方
①医療機関で処方してもらう
②72時間以内で、なるべく早いタイミングで使用する
子宮内避妊用具(銅付加IUD)
特徴
IUDは「Intrauterine device」の略で、子宮内避妊用具と呼ばれています。プラスチック製ですが、柔らかく、手のひらに載ってしまうほど小さいサイズです。授乳中でも利用ができることが他の避妊具とは違う特徴です。
効果
IUDには、精子の運動を弱めたり、受精を妨げたりする効果があります。1度子宮内に装着すると、2年〜3年は避妊効果が持続します。ただし、装着位置からずれると避妊効果はなくなるので、定期検診が必要です。
また、避妊効果はピルの理想的な使用には劣りますが、1度装着すると飲み忘れなどの失敗がないため、妊娠失敗率は低くなります。
使い方
①医療機関で相談
②検診で装着に問題が無いか確認
③15分程度で医者から装着してもらう
ミレーナ (レボノルゲストレル放出IUS)
特徴
ミレーナは、「子宮内黄体ホルモン放出機能」が付いた新しいタイプの避妊具です。2007年に避妊薬として認可されました。一般的に「避妊リング」とも呼ばれています。
ピルの服用が勧められない以下のような方もミレーナの着用が可能です。
- 40歳以上
- 愛煙家
- 高血圧
- 肥満
- 血栓症のリスクがある
ピルは全身に黄体ホルモンの影響が出るのに対し、ミレーナは子宮内で作用するので副作用も少なめとなっています。
効果
形状が子宮内避妊用具(IUD)に似ていますが、効果は異なります。
ミレーナは、
- 子宮内膜の増殖を抑える効果
- 着床を防ぐ効果
があります。1度子宮内に装着すると5年間程度、避妊効果が継続します。しかし、ミレーナも子宮内避妊用具(銅付加IUD)と同様に定期検診が必要です。
ミレーナの避妊効果は、女性主体の避妊方法の中では1番高く、着用後の離脱さえなければ避妊が失敗する確率はダントツで低くなっています。
また、持続的に放出される黄体ホルモンのおかげで、「過多月経」や「月経困難症」の改善に効果を発揮します。
使い方
装着自体は、子宮内避妊用具(銅付加IUD)と同じです。
①医療機関で相談
②検診で装着に問題が無いか確認
③15分程度で医者から装着してもらう
ペッサリー
特徴
ペッサリーはドーム状のカップとなっていて、子宮にかぶせることで物理的に精子の侵入を防ぐ、「バリア法」の1つです。性交渉直前に着用して、性交渉後から8時間したら外すという使用方法になります。
洗って繰り返し使用可能ですが、
- 子宮口の大きさに合わせる必要がある
- 性交渉の度に着用する必要がある
- 正しい使用できなければ失敗率が高い
- 日本での取り扱いが少ない
といったデメリットや子宮位置を治すための器具であることから使用者は多くありません。
効果
殺精子剤を併用することが望ましい方法で、単体での避妊成功率は高くありません。コンドームと異なり、繰り返しての使用は可能ですが、使用時に破れていないかチェックする必要があります。
使い方
①指を使って、子宮にかぶせる
②行為後、8時間は外さずにいる
③24時間以内に取り外す
予期せぬ性交渉や避妊失敗時の対処方法
時として予期せぬ性交渉や望まぬ性交渉、避妊が失敗することもあるかもしれません。その時に女性ができる性交渉後の対処方法としては、以下の方法があります。
- アフターピル(緊急避妊薬)
- 子宮内避妊用具(銅付加IUD)
アフターピル(緊急避妊薬)の場合は性交渉から72時間以内、子宮内避妊用具(銅付加IUD)の場合は5日以内に使用することで避妊を避けることが期待できます。この対処法は、早ければ早いほど効果がみられます。
間違った避妊方法
避妊方法を誤ったり、間違ってしまうと意図しない妊娠や健康上のリスクが高まります。いくつかの例をあげるので、性交渉の際は気をつけましょう。
膣外射精
膣外射精は射精前に膣から陰茎を引き抜いて膣の外に射精する方法です。ですが、避妊方法としては、おすすめできません。性交渉の頻度にもよりますが、妊娠が失敗する確率は22%と高く、5人に1人が妊娠してしまう計算です。
避妊方法として不十分になる理由として、射精の際に出る精液以外にもカウパー腺液といって我慢汁とも呼ばれる分泌物の中に精子も含まれていることがあげられます。カウパー腺液は意図的に制御することはできません。そのため、膣外射精はできても、精液より先に出ているカウパー腺液によって避妊が失敗する可能性があるのです。
生理中の性交渉
生理中の性交渉はそもそもおすすめできません。避妊が失敗するリスク以外にも下記のようなリスクがあるためです。
- 感染症
- 子宮内膜症
- 経血が逆流する
生理中でも排卵が安定していない方もいらっしゃいます。その場合、生理直後にも排卵が起こる可能性があります。膣の中でも2〜3日精子が生き残ることから避妊せずに性交渉をすると、妊娠する可能性は大いにありえるでしょう。
シャワーやウォシュレットで流す
この方法も避妊方法として、適切ではありません。射精された精子は、射精後すぐに子宮内まで泳ぎ出します。よって、そのあとシャワーやウォシュレットで流したとしても精子は子宮内に入っているため、妊娠を防ぐことはできません。
また、膣内をシャワーやウォシュレットで流すと、膣内の菌のバランスが崩れてしまうため、炎症や感染症にかかりやすくなります。
コンドームの不適切使用
コンドームの不適切使用には以下のようなものがあげられます。
- 挿入前にコンドームを着用しない
- 重ね付けをする
- 使用期限が切れたものを使用する
- 破れたものを使用する
- 陰茎のサイズにあったものを使用しない
- 射精後すぐに取り出さない
- 油性の潤滑剤を使用する
正しく使用できていないと、性感染症を防ぐことも妊娠を防ぐこともできません。様々なリスクを下げるためにもコンドームは正しく使用しましょう。
ピルの不適切使用
女性主体の避妊方法としてピルを選択される方もいらっしゃるでしょう。ですが、ピルは「飲み忘れ」や「時間が守れない」といったような使用方法をしていると、血栓症のリスクやその他副作用のリスクを高め、避妊が失敗してしまう場合もあります。
まとめ
避妊方法に絶対や100%はありません。性交渉をしないことが妊娠を防ぐ1番の手段ですが、現実的にはそうはいかないでしょう。だからこそ、カップルでよく話し合い、避妊方法について正しい知識を身につけて実践することが重要です。