おりもので体からのサインを見逃さない!生理周期や疾患による色・臭い・量の変化を解説
2023.07.10
-
女性器形成
この記事を読んでいるあなたは
- おりものって何?
- 急におりものが増える理由が知りたい
- 色や臭いが正常な状態ってどんな時?
上記のように考えているかもしれません。
この記事ではそんなあなたに、「おりもので体からのサインを見逃さない!生理周期や疾患による色・臭い・量の変化を解説」について解説します。
おりものの変化は体からのサイン
「おりもの=汚いもの」や「下着が汚れて困るもの」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、おりものは体の健康状態を示す大切なサインです。日々の健康状態をチェックして体を守るためにも、ここではおりものの状態について詳しく見ていきましょう。
おりものの臭い
通常、おりものは乳酸菌によって酸性に保たれているため、酸っぱい臭いであることがほとんどです。しかし、以下のような臭いがする場合は、異常のサインを発している可能性があります。
- 膿のような臭い
- 腐った魚のような臭い
- 生臭い(イカ臭い)
また、疾患以外だとストレスなどで免疫が落ちている時に、いつもとは違う臭いがすることもあります。これらの臭いが長期化している場合は雑菌が侵入、繁殖している可能性があるため、医療機関での治療が重要となります。産婦人科での相談も視野に入れましょう。
おりものの量
おりものシートでは足りずに月経用ナプキンを使用するレベルになると、おりものとしては量が多すぎるかもしれません。中には尿漏れやズボンに染みるほどドバッと出る方もいらっしゃいます。このようにライフサイクル以外でおりものの量が増える原因として、感染症や炎症が起こっていることがあげられます。自浄作用のためにおりもの量が増えるためです。いつもより多いなと感じたらおりものシートを頻繁に交換するなど、清潔を保つようにしてみてください。
おりものの色
おりもの色で要注意な色は、以下の通りです。
- 濃い黄色
- 黄緑色
- 灰色
また、生理中もしくはその前後以外では、以下のおりものの色が見られる場合にも注意は必要になります。
- 茶褐色
- 茶色
- 薄い茶色
- ピンク色
これらの色は、体に不調が起こってる可能性も高く、疾患以外だと妊娠の兆候も考えられます。おりものの色が気になる場合は早めに産婦人科で相談しましょう。
疾患以外でおりものの量が変化する原因
疾患以外でライフサイクル内や日常生活でおりものの量が変化する理由は以下の通りです。
- 生理周期
- 年齢
- 妊娠
- 過労やストレス
- 洗いすぎ
ここでは、それぞれでおりものが変化する原因について触れていきたいと思います。
生理周期によるおりものの変化
女性の体は1ヶ月で女性ホルモンのサイクルがあり、
- エストロゲン(卵胞ホルモン)
- プロゲステロン(黄体ホルモン)
これらのホルモン量の変化が排卵や月経の周期を調節する役割を果たします。当然のことながら、おりものもこれらのホルモンバランスに影響を受け、サイクル内でおりものの量に変化が出ます。具体的には以下の通りです。
卵胞期
卵胞期は月経が終わった頃から1週間程度の期間を指します。この時期のおりものは、経血が混じっていることから見た目が茶色〜褐色であり、量は少なくサラサラとした状態です。
排卵期
排卵期では、卵胞期後半から増えてきたおりものの量がこの時ピークを迎えます。おりものの状態は透明で粘り気が強いものへ変化して、指で伸ばすと糸を引くようになります。また、時折血が混じることもありますが、大体は「中間期出血」という生理現象です。おりものに血が見られても過度に心配はいりません。
黄体期
排卵日から月経が始まるまでの時期が黄体期です。この時期のおりものの量は、排卵後から徐々に減っていきます。また、色は白濁でドロっとした状態かつ、臭いの強い状態であるため、不快に感じる方が多い時期かもしれません。
年齢によるおりものの変化
年齢によっても女性ホルモンの量が変化するため、おりものの量にも変化が出ます。
幼児期
思春期前は、ほとんどおりものが分泌されません。したがって、この頃に生じるおりものは、感染性膣炎を自浄しようとする膣の役割によって生じている可能性があります。要因として、排便や排尿後にトイレットペーパーでうまく処理できないことや好奇心から膣周辺を触ることがあげられます。清潔さを保っていれば心配はありません。
思春期
女性ホルモンの働きによって、初経の約1年前からおりものが分泌され始めると言われています。しかし、女性ホルモンの分泌が不安定であるため、おりものも量や色が不安定になりがちです。
性成熟期
女性ホルモンの1種であるエストロゲンの分泌のピークを迎えると、おりものの量も増えるようになります。個人差はありますが、20代後半から30代前半くらいがもっとも分泌量の多い時期とされています。
更年期
閉経の前後5年を更年期と言います。更年期では、女性ホルモンの分泌は波を繰り返しながら徐々に低下、それに伴っておりものの量も減少することが一般的です。しかし、おりものの量が減少することで、感染症や炎症を起こしやすくなる時期でもあります。急におりものの量が増えることがあれば、何かしらの疾患が起こっているかもしれません。
老年期
閉経後では、おりものがほとんど分泌されなくなります。そのため、更年期と同様におりもの量が増えたり、おりものの臭いが気になる場合は異常が起こっている可能性が高いでしょう。
妊娠よるおりものの変化
妊娠初期ではおりもの量に大きな変化がほとんどみられません。しかし、妊娠が進むとエストロゲンの分泌量が増えていくため、おりものの量も増えていきます。おりものには膣内の雑菌繁殖を抑える役割がありますが、妊娠中は雑菌やウイルスから胎児を守る役割も担っているとされています。
また、この時期のおりものの状態は、粘り気のないサラサラとしたものであることが基本的です。妊娠によって生理が始まらず、先ほどのようなおりものが長く続くことで妊娠の可能性に気づくこともあるでしょう。
過労やストレスによるおりものの変化
過労やストレスが重なると、以下のような原因でおりものが増加する可能性があります。
- ホルモンバランスが乱れる
- 免疫力が落ちる
おりものは女性ホルモンの影響を受けて分泌されるため、ホルモンバランスが崩れるとおりものの量も増減します。風邪などになって免疫が落ちると膣内で炎症を起こすこともあり、自浄作用によって一時的におりもの量が増えることもあります。
洗いすぎによるおりものの変化
洗いすぎると膣内のバランスが崩れて、おりものが増えることもあります。お風呂で必要以上に洗ったり、ビデや洗浄液で洗いすぎることが原因です。臭いや見た目が気になるからといって、必要以上のケアは避けるようにしましょう。
<膣ケアについての詳しいコラム>
膣ケア(フェムケア)とは?やり方やメリットを解説
正常な状態のおりものは?
正常なおりものの色は以下の通りです。
- 無色透明
- 白色
- 薄い黄色
臭いに関しては、酸性なので酸っぱい臭いが一般的とされています。
おりものはカラダのサイン。赤・茶・白・黄・透明…の色が示している体のコンディションとは?
おりものの異常によってわかる疾患・病気
おりもので分かる治療が必要になる疾患をまとめてみました。セルフチェックして、体からのサインに気づくようにしましょう。下記の症状が気になる際は、産婦人科へ相談することをおすすめします。
臭い | かゆみ | 色・特徴 | |
子宮頸管ポリープ 子宮腹部びらん 子宮頸がん初期 |
気にならない (臭うこともあります) |
かゆくない | 茶色 赤色 |
子宮頸管炎 萎縮性膣炎 クラミジア 淋病 |
かゆい (かゆみの出ない時もあります) |
濃い黄色 黄緑色 茶色 |
|
膣カンジタ | クリーム色 カッテージチーズ状 |
||
細菌性膣炎 子宮頸がん 子宮体がん |
気になる | かゆい | 黄色 赤褐色 鮮血が混じる |
膣トリコモナス | かゆくない | 黄色 黄緑色 泡立ち、悪臭 |
異常の原因①子宮頸管ポリープ
子宮の入り口である頚管にポリープができる疾患です。これらのポリープの多くは直径が1cm未満で、キノコ状の見た目をしています。性交渉や排便時のいきみ、運動などで出血しやすいため、おりものにもその血が混じざることがあります。ポリープは通常、良性の腫瘍であることから放っておいても問題はありません。この疾患は、受精卵の着床を妨げる可能性もあるため、将来的に妊娠を望む場合には切除することを推奨されます。
異常の原因②子宮腹部びらん
子宮びらんは疾患というよりも、生理的変化の一種です。実際には子宮の入り口が爛れているわけではなく、びらんしているように見える状態に見えています。
- おりものが多すぎる
- 膣炎になりやすい
- 不正出血が多くなる
子宮びらんは8〜9割の女性にみられ、治療を積極的にする必要はありません。ですが、上記のような自覚症状が出た場合には、治療を検討する必要があります。
異常の原因③子宮頸管炎
子宮頸管炎は病原菌が膣内に入り込み、子宮頸管に炎症が生じる疾患です。炎症を起こすきっかけとなった菌によって、生じるおりものの状態が異なります。自覚症状として、下腹部の痛みや不正出血、性交渉時に痛みや出血などがあります。
異常の原因④萎縮性膣炎
女性ホルモンの低下によって膣が萎縮し、膣壁も薄くなるといった疾患です。閉経後になる方が多いため、老人性膣炎とも呼ばれています。おりものが増加するのは、膣内の乾燥によって雑菌が繁殖、膣炎を起こしやすくなることが原因です。閉経以外でも、ホルモンバランスの乱れが原因で発症することもあります。
【更年期】膣劣化。加齢に伴う膣の変化と対策とは?下半身美容専門医師が解説します。
異常の原因⑤クラミジア
クラミジアは、子宮頸管に炎症を引き起こす細菌感染症です。初期は水っぽいおりものが、進行してくると膿状の黄色いおりものが出るようになります。女性の場合、7〜8割の方が症状に気づきにくく、悪化することでようやく気づく疾患です。進行してしまうと、卵管炎や骨棒腹膜炎へ発展する可能性もあります。
異常の原因⑥淋病
クラミジアの次に多い性感染症です。おりものが増えたり、濃い黄緑色になったり、臭いが強くなります。症状が軽いため、クラミジアと同様に悪化することで気づくことが多いようです。こちらも放置すると、卵管炎や子宮内膜炎を招くこともあります。
異常の原因⑦膣カンジタ
膣カンジダは、膣の中にいるカンジダ菌が繁殖することで炎症が起こる疾患です。症状として、かゆみや不快感のほか、痛みを感じることもあります。おりものに起こる変化は他の疾患と比べると独特で、白く濁ってヨーグルトやカッテージチーズといった独特の表現をされます。
また、性感染症と勘違いされがちですが、厳密には性感染症ではありません。実際には「日和見感染症」で、ストレスなどが原因で免疫が低下することで起こり、性交渉がなくとも罹患することもあります。ですが、膣カンジタは性交渉で移ることもあるので、完治するまでは性行為は控えるようにしましょう。
異常の原因⑧細菌性膣炎
細菌性膣炎は、雑菌の異常繁殖が原因で生じる炎症です。普段、自浄作用によって膣内の雑菌が繁殖しづらくなっています。ですが、免疫が低下しやすい環境にあると、健康な状態では問題のない細菌が繁殖するようになります。そのため、雑菌を排除しようとおりものの量が増えたり、雑菌によっておりものの臭いに変化が出ます。
細菌性膣炎が生じるのは、
- 不衛生な前戯
- 膣内の洗いすぎ
- 子宮内避妊具の使用
- ストレス
- 睡眠不足
などといったことが原因です。膣内で炎症が起こっているので、その状態で性交渉をすると性交痛になったり、炎症が悪化して外陰部が腫れてしまうこともあります。
異常の原因⑨子宮頸がん・子宮体がん
子宮頸がん・子宮体がんは、子宮頸部もしくは子宮に悪性腫瘍(がん)ができる疾患です。初期症状として出血がみられることが多く、おりものにも出血が混じりやすくなっています。さらに病状が進行すると下腹部や腰が痛んだり、尿や便に血が混じることもあります。
子宮頸がんの原因は性行為のやりすぎって本当??東大卒専門医の解説。
異常の原因⑩膣トリコモナス
トリコモナスと呼ばれる原虫が膣や子宮頸管に寄生する性感染症です。おりものの状態も泡立ったり、悪臭が出たり、黄色や黄緑色といった変化が出るようになります。
この疾患の症状には、
- 膣内の激しいかゆみ
- 外陰部が赤みやただれ
- 排尿時に痛み
などが含まれます。放置していると、不妊、流産や早産の原因となる可能性があるため治療が必要です。
また、この疾患は膀胱や尿道にも感染することもあります。下着やタオル、便器や浴槽を介して感染が広がるため、感染経路の多さと感染力の高さが特徴の疾患です。このため、性交渉の経験のない男女や子供が感染する可能性も念頭に置く必要があります。
そもそもおりものって何?
生理と同じくらい女性の体と密接に関係のある「おりもの」。それが何からできているか、役割は何かをご存知ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、おりものの正体や役割に触れてみたいと思います。
おりものとは?
おりものは、女性の膣口から分泌される粘液の総称です。文字通り、女性の体から「おりてくるもの」が由来で、専門的には「帯下(たいげ)」と言います。おりものには、子宮頸部や子宮内膜、膣壁、皮脂腺、汗腺などからの分泌物や老廃物が含まれています。
おりものの役割
おりものには以下のような役割があります。
- 自浄作用
- 受精のサポート
- 膣内の潤いを保つ
細かく紹介していきます。
自浄作用
おりものには、膣や子宮をpH3.8〜4.5の酸性に保ち、健康を守る自浄作用の役割があります。膣は体外に接しており、さらに排泄器官が近いことから様々な細菌や病原体が侵入しやすい場所です。しかし、自浄作用により、これらの細菌や病原体は死滅し、膣内の汚れや老廃物と一緒に体外へ排出されます。その結果、侵入しても増殖することができず、膣は清潔な状態が維持されます。
受精のサポート
受精が成功するためには、精子が卵子に到達する必要があります。ですが、酸性の膣内で精子は長時間活動することができません。 精子はアルカリ性を持つため、酸性の環境下では死滅してしまうためです。しかし、排卵期に入ると、おりものはアルカリ性へと変化して、粘り気が増すようになります。この時のおりものが精子を酸性の環境から保護し、精子が卵子へ辿り着くようにサポートします。
<女性のオーガズムについてのコラム>
女性が感じる仕組みとは?オーガズムとスキーン腺の関係について解説
膣内の潤いを保つ
おりものは膣内の潤いを保ち、粘膜を保護する役割も担っています。膣内の湿潤性が減少すると、以下のような不快な病状が現れることがあります。
- かゆみ
- ヒリつき
- 炎症
- 性交痛
お肌も乾燥するとトラブルが生じやすくなりますが、膣内も乾燥すると膣粘膜は収縮や薄くなるといったトラブルが起こりやすくなります。
まとめ
おりものは体からのサインです。普段から自身の状態を把握しておくことで、違和感や不快感を感じた時の判断材料になります。気にしすぎる必要はありませんが、不安に思ったら産婦人科で相談するようにしましょう。
また、YouTubeの「下半身美容チャンネル(https://www.youtube.com/@vearyclinic)」でも女性器や男性器、デリケートな話題やみなさんからの疑問を取り上げていますので、ぜひご覧ください。