膣内射精障害を治すには?その原因や不適切なマスターベーションを解説

2023.07.05

  • 男性器形成

この記事を読んでいるあなたは

  • セックスでの射精がうまくいかない
  • パートナーを安心させたい
  • 射精できるように治療したい

上記のように考えているかもしれません。

この記事ではそんなあなたに、「膣内射精障害を治すには?その原因や不適切なマスターベーションを解説」について解説します。

膣内射精障害について

コラム29-3

膣内射精障害とは、女性の膣内では射精ができなくなる症状です。マスターベーション(自慰行為、オナニー)による射精には問題がないものの、性行為での射精が難しかったり、途中で中折れしてしまうこともあります。近年、膣内射精障害で悩まれる方は増加傾向にあり、EDを伴うこともあって深刻な問題となっています。

膣内射精障害の原因となる不適切なマスターベーション方法

コラム28-5

膣内射精障害は感覚的な問題であり、マスターベーションの頻度が多い人ほど発症しやすいとされています。ここでは膣内射精障害の原因となる「不適切なマスターべション方法」について詳しく解説します。下記のような習慣をお持ちの方は気をつけましょう。
※一部俗語的な表現が含まれていますが、インターネットなどでよく見られるワードなので、そのまま使用します。

床オナ

床オナは床を使用するマスターベーションの一種です。手を使わずに床や布団などに陰茎を押し付け、その圧迫感で射精へと至ります。得られる快感は膣の中の刺激と異なり、非常に強いものです。そのため、性交渉の際に女性器へ挿入しても刺激や快感が感じにくくなります。

完全に勃起した状態での射精が困難になっていく原因として、床オナをされる方の多くが「半勃起状態を維持しつつ射精する」といったことがあげられます。「勃起しなければ射精はできないのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。ですが、勃起と射精は連動しているけれど、それぞれ別々のメカニズムです。
射精は勃起なしでも可能ですし、亀頭が最も敏感な状態になるのは半勃起状態だったります。快感が強いからといって半勃起状態での射精が習慣化すると、完全に勃起した状態になると亀頭への刺激は鈍くなることも相まって、強い刺激でなければ射精できない体質に変化していきます。

強グリップ

強く陰茎を握ってのマスターベーションもよくありません。床オナと同様に強すぎる刺激での射精習慣は、膣内での射精を困難にさせるためです。

また、実際の性行為で再現できない刺激に慣れてしまうことで起こるため、逆に「弱い刺激でのマスターベーション」を習慣にしていると今度は早漏になりやすくなります。マスターベーションの際は、強すぎず弱すぎない強さを心がけましょう。

足ピン

足ピンは、マスターベーションの際に下半身に力を入れながら、足をピンと伸ばしながら射精することです。
このマスターべションがよくないと言われる理由は、以下のようにあげられます。

  • 力が入った状態での射精
  • 性交渉で一般的な体位ではない

これが習慣になると、習慣化している体勢を取れない時にオーガニズムを感じづらくなります。原因は力が入った状態が、快感のスイッチとなってしまっているためです。性交渉にて男性が足をまっすぐにする姿勢は、女性主導の騎乗位くらいでしょう。男性主導での体位が取りにくくなると、騎乗位以外での射精が難しくなる可能性もあります。

膣内射精障害のその他の原因

膣内射精障害の主な原因は誤ったマスターベーションであることが多いとされています。ですが、それ以外にも膣内射精障害の原因はいくつかあるので、ここで紹介したいと思います。

心理的な問題

心理的な問題を抱えているために女性や性行為で緊張してしまい、射精が難しくなることもあります。要因としては以下のようなことが考えられるでしょう。

  • 性欲が汚いもののように教わった
  • 子供を持つことへの恐怖心や不安
  • 子供を作らなければというプレッシャー
  • 人に言いにくい特殊な性癖がある
  • セックスが下手、もしくは痛いと言われた

このような心理的な要因を抱えている場合は勃起に至らなかったり、勃起の維持が難しいこともあります。

薬の副作用など

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)など、一部の薬を服用している際に性機能障害の副作用がみられることがあります。特にジェゾロフトとパキシルでの治療中に起こりやすく、主治医に打ち明けにくいことから悩みを抱え込んでしまう方も多いようです。ですが、薬を変更するなどの対策も取れるため、副作用による体の変化でお悩みの方は主治医に相談するようにしましょう。

そもそも射精障害とは?

コラム25-2

射精障害とは射精に関して問題がある状態のことを指「性機能障害」の一種です。
勃起自体はできますが、

  • 射精のタイミングが悪い
  • オルガズムを感じても精液が出ない
  • 精液量が減少している

といった問題が生じて性行為の障害となっています。

射精障害の種類

コラム31-3

射精障害はED(勃起不全)と同じ性機能障害の一種であり、どちらも代表的な性機能障害といえます。ここではそんな射精障害にはどのような種類があるのか、詳しく解説します。

早漏・遅漏

早漏とは、すぐに射精してしまう状態で、逆に遅漏は射精するまでが遅い状態です。射精が早いか遅いかだけで一見すると問題がなさそうに思えますが、早漏と遅漏は性行為の満足度に大きな影響を与えます。早漏の場合ではパートナーが満足していないのに性行為が終わってしまい、逆に遅漏の場合ではいつまで経っても射精せずパートナーや自分が疲れてしまいます。そうした性行為に対する不満が、不和の原因となる場合も珍しくはありません。

また、どちらの場合も心理的要因が問題となりやすい症状です。他にも、早漏なら脳への伝達が早すぎる過敏性の問題、遅漏なら不適切な自慰行為による刺激に対する慣れの問題が考えられます。早漏に関しては、日本人の約3.5人に1人の割合とも言われており、EDと並ぶほど、悩みを抱える人は多くいらっしゃいます。

逆行性射精

逆行性射精とは精液が体外へ放出されず、逆に膀胱内に流れてしまう状態です。主な原因として、前立腺手術などがあげられます。他にも、糖尿病や脊髄損傷をした場合などにも逆行性射精は認められることもあります。通常、射精時には精液の逆流を防ぐため、膀胱頸部は閉じるものです。しかし、何らかの原因で膀胱頸部が開いたままになると膀胱内に精液が逆流し、オーガズムと射精感を得られても精液の量が少ない、もしくはまったく出ていない状態になります。

無射精子症

無射精子症とは、精液内に精子が確認できない状態です。精子は受精するのに必要なものであり、精子の含まれていない精液が膣内にどれだけ入ったとしても妊娠することはありません。このことから無射精子症は不妊の原因として問題視されています。

無射精子症は、大きく2種類に分けられ、それぞれ原因や治療の仕方は変わってきます。

  • 閉塞性無精子症
  • 非閉塞性無精子症

妊娠を可能とするためには、無精子症の検査が必要になります。

膣内射精障害を放置するリスク

コラム29-9

膣内射精障害を放置すると様々なリスクが生じます。ここでは、パートナーとの関係にも影響を及ぼす可能性があるお悩みに触れたいと思います。

男性不妊

膣内射精障害の困り事の1つに、性交渉による妊娠を困難にしてしまうことがあげられます。膣内で射精ができないと人工授精などの治療が必要になるため、費用面でも心理面でも負担が大きく、辛い思いをされるカップルは少なくはありません。また、逆行性射精の病状では体外へ射出される精液量が少なくなるため、射精ができたとしても受精する確率が低く、こちらも妊活の際に費用や体の負担が大きくなりがちです。

また、射精障害は着床率に悪影響を及ぼす可能性があります。これは射精障害で精子が射出されず、精嚢内で長時間経過してしまうことが原因です。通常、精子は約3日で精嚢に満たされます。ですが、射精回数が少ないと精嚢に精子は蓄えられ続け、精子の質が次第に低下して運動能力は失われていきます。新たな精子が作られにくい状況に加えて、正常な精子や精子を作る細胞を損傷すると言われています。作られてから時間の経過した精子は活性酸素を産生して、酸化ストレスを与えるためです。射精障害を放置すると精子の質はどんどんと悪くなる可能性が高まるので、妊娠をお考えの方は治療を視野に入れることをおすすめします。


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ED (勃起不全)になる

膣内射精障害になると、EDになるリスクが高くなります。原因は膣内射精障害であることに負い目を感じ、男性としての自信が失われてしまうためと言われています。もともと男性器は繊細な動きで成り立っています。そのため、不安や緊張から心因的なEDを併発する可能性があり、状態が悪化すると男性不妊へ繋がることもありえるでしょう。

パートナーとの関係悪化

恥ずかしさから自身の状態を言い出せずに、パートナーとの関係が悪化する可能性も考えられます。パートナーさんの中には性行為が上手くいかないことで「私のせいかも?」、「女性として魅力が足りない?」と真剣に悩まれる方もいて、お互いに苦しい思いをされるカップルや患者さんがいらっしゃいます。セックスレスや出産後の不和につながることもあり、膣内射精障害はパートナーシップにおいても深刻な問題です。軽視せずにしっかりと向き合いましょう。

膣内射精障害の治療・改善方法

コラム21-4

性行為の問題となる膣内射精障害の治療方法ですが、正しく治療することで改善も目指せます。中には、普段の生活を見直すだけの治療法もあるので、ここを参考に治療を検討してみてください。

マスターベーションのやり方を変える

膣内射精障害の治療・改善には、マスターベーションのやり方を変えることをおすすめしています。前述の通り、膣内射精障害では不適切なマスターベーションが原因であることがほとんどです。やり方を変える、もしくはトレーニングをすることで改善できる場合があります。

主な改善ポイントは3つです。

  • 弱い刺激に慣れる
  • オカズはパートナーを想像する
  • マスターベーションの回数を減らす

膣内射精障害の原因は実際の性行為で得られる刺激よりも強い刺激に慣れてしまうことです。そのため、普段から性行為に近い状況を作りましょう。その他、刺激の弱いグリップを愛用したり、段々と弱くできるトレーニング用のメンズカップも効果的と言えます。自分に合ったものを探してみるといいですね。

また、マスターベーションをする際は、刺激的な映像や過激な妄想に頼る頻度を減らしてみてください。性的な興奮となる要素も性行為に近づけることで、より勃起が持続するようになります。

セックスカウンセリング

セックスカウンセリングとは、性行為に関した悩みを「心理的にサポートする」施術方法です。一般的なカウンセリングと基本的には同じであり、性行為に特化した内容と思ってください。膣内射精障害の原因には心理的な場合も多く、悩みを打ち明けて正しいサポートを受けることで改善する場合があります。そうでなくても、専門家によるアドバイスは効果的であり、膣内射精障害の治療に役立ちます。射精障害を恥ずかしく思うかもしれませんが、勇気を出して相談をしてみてください。

薬物療法

逆行性射精や無射精症の場合では、不適切なマスターベーションを正しても射精障害は改善されません。神経系や抗がん剤治療による副作用などが原因になるため、服薬治療も検討するとよいでしょう。場合によっては、服薬治療のみでは改善が見込めず、手術が必要になることもあります。

また、早漏には抗うつ薬が効果的ではありますが、処方には受診による検査が必要です。適切な治療をするためにも、まずは専門の医師に相談をしてください。

膣内射精障害についてまとめ

コラム8-3

射精障害になると、パートナーとの性交渉がしにくくなります。自信を失うことでEDになるリスクや男性不妊となる可能性もあるでしょう。また、射精障害は自然に完治しないこともあるので、自分で改善することが難しいと感じたら、専門機関で受診、もしくはセックスカウンセリングをして、射精障害の治療を目指していきましょう。

この記事を監修した医師

ヴェアリークリニック院長

井上 裕章

医師プロフィール

2014年東京大学医学部卒業。外科専門研修を修了、外科専門医を取得を経て、2019年に東京大学医学部附属病院にて勤務。性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を専門とする外科診療に従事してきた。その過程で下半身の美容的な悩みを抱える患者さんから相談が多く寄せられるようになるが、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関が存在しないことを知る。自身で立ち上げるために各分野の美容系クリニックにて修練を重ねたのち、2022年に「veary clinic」 を開院。自らの骨盤臓器と下肢に対する外科治療の経験および解剖の知識を生かしつつ、最善の治療を患者さんに提供している。日本外科学会認定外科専門医。日本外科学会、日本性機能学会、日本フットケア・足病医学会、日本大腸肛門病学会に所属している。