女性に多いスソワキガ(スソガ)とは?デリケートゾーンが臭う原因や治療を紹介

2023.06.01

  • フェムテック

この記事を読んでいるあなたは

  • スソワキガ(スソガ)の原因が知りたい
  • スソワキガ(スソガ)の臭いがどんな臭いか知りたい
  • スソワキガ(スソガ)が臭う理由が知りたい

上記のように考えているかもしれません。

汗にも種類がある

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意外なことのように思われるかもしれませんが、汗は役割や分布する場所などが異なる2つの汗腺から分泌されます。「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」です。スソワキガ(スソガ)を解説する前にその「汗腺」や分泌される「汗の性質」について紹介いたします。

エクリン汗腺とアポクリン汗腺

人の体には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という汗腺があります。それぞれ下記のような違いを持っています。

アポクリン汗腺 エクリン汗腺
役割 フェロモン分泌 体温調節
分布している場所 ワキ、耳孔、乳輪、陰部 ほぼ全身
開口部 毛包 表皮
発汗する要因 身体的刺激、情緒 温熱、精神的、味覚
支配している神経 アドレナリン アセチルコリン

役割上、アポクリン汗腺は性ホルモンに影響を受けるため、それまで気にならなかった臭いも思春期以降で気になる方が増えてきます。
思春期位以降でも臭いにくい方もいらっしゃいますが、それは分布量が遺伝子によって左右されているためです。しかしながら、どちらの汗腺も人の体に存在しているので、まったく臭わない方はいません。

分泌される汗の性質

先述した汗腺から分泌される汗の性質は、それぞれ異なります。

アポクリン汗腺 エクリン汗腺
成分 脂肪やタンパク質中心 99%水分
粘度 ベタベタ サラサラ
乳白色 無色透明
汗自体の臭い 無臭 無臭

意外なことのように思いますが、どちらの汗も無臭です。それなのになぜ臭うのか?そこには、常在菌や雑菌の存在が関係しています。
アポクリン汗腺から出る汗は、臭いの元となりやすい「脂肪」や「タンパク質」などが多く含まれています。そして、それらの成分は常在菌によって分解された時に腐敗も進むため、独特の臭いが発生するようになります。

スソワキガ(スソガ)とは?

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スソワキガ(スソガ)とは、デリケートゾーンからワキガ特有の臭いを発する症状です。医学的に「外陰部臭症(がいいんぶしゅうしょう)」と呼ばれています。場所が場所なだけに相談が難しい部位であるために、抱え込んでしまう方も多いでしょう。

そもそもワキガとは?

ワキガとは、主にワキから放たれる独特な臭いを発したり、衣類に黄ばみが出る疾患です。アポクリン腺とエクリン腺という汗腺のうち、アポクリン腺から出る汗と皮脂が混ざり、雑菌が分解することで臭いを生じます。
もともとアポクリン腺は、異性に自身のフェロモンをアピールするための組織と言われています。そのため、子供の頃は目立たなくても思春期に入ってから臭いが強くなったという方もいらっしゃいます。

<ワキガについてのコラム>
ワキガとは?ニオイの原因と治療法や対策の解説

スソワキガ(スソガ)は女性に多く見られる症状

スソワキガ(スソガ)は男女ともに見られる症状ですが、特に女性に多く発症する症状とも言われています。女性は、生理や妊娠、出産、性行為などによりホルモンの変化が起こり、アポクリン腺が刺激されて活発になるためです。

加えて、女性は生理やおりものといった分泌液により、陰部が蒸れやすい環境にあるので、臭いが強くなる傾向にあります。特にVIOゾーンのうち、Iゾーンは陰毛に臭いが付きやすいことから、スソワキガ(スソガ)でなくとも臭いが気になるという方は少なくはないでしょう

ワキガの人はスソワキガ(スソガ)になりやすい

ワキガの方はワキ以外のアポクリン汗腺の数も多く、スソワキガ(スソガ)の体質である可能性が高いです。ワキほどアポクリン汗腺が多くないものの、アポクリン腺はワキだけでなく、外陰部・肛門・乳輪周囲・耳の中にも存在します。その数は最初から決まっており、後天的に多くなることも少なくなることもありません。そのため、ワキガの方は他の部位にも注意が必要です。

女性のスソワキガ(スソガ)が臭う原因や時期

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前述のように、アポクリン汗腺は性ホルモンの影響を受けやすい器官です。二次性徴以降、女性は日常的にホルモンの変化が大きく、アポクリン汗腺が活発になりやすい時期があります。ここでは、女性ホルモンとスソワキガ(スソガ)の関係や臭いが強くなる時期について解説します。

生理前や生理中

排卵日前後になると女性ホルモンの分泌量が増え、アポクリン腺が活発に働くため臭いが強くなる人もいます。それは、女性ホルモンの一つである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌が増え、体温が上がることが原因です。体温が上がると汗や皮脂が分泌され、スソワキガ(スソガ)や体臭が強くなりやすくなります。
また、生理を迎えると、デリケートゾーンの汗とおりものや月経血が混ざり合い、より嫌な臭いを発して嫌な思いをされる方もいらっしゃいます。

妊娠や出産前後

妊娠や出産前後でホルモンバランスが乱れやすい状態になるため、体臭も大きく変化することもあります。しかしながら、この変化は一時的なもので、ホルモンバランスが落ち着いてくるとスソワキガ(スソガ)や体臭も落ち着いてくるようになります。

更年期

更年期障害の症状の一つである「多汗症」が原因で、スソワキガ(スソガ)の臭いが強まることもあります。「ホットフラッシュ」が更年期障害の症状として聞きなじみもある方もいらっしゃるでしょうが、ホッとフラッシュは自律神経が乱されることで引き起こされる症状です。今現在で汗をかかれない方も更年期に差し掛かったら、臭いに気を付けてみてもいいかもしれませんね。

スソワキガ(スソガ)の特徴やセルフチェック

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下着やデリケートゾーンからの臭いが気になったら、下記でセルフチェックしてみましょう。

  • 血縁者にワキガやスソワキガ(スソガ)体質の方がいる
  • 耳の垢に粘り気がある
  • 黄ばみの汗じみができる
  • ワキ下に粉のようなものが付着する
  • 下着の臭いが洗っても取れない

こちらの特徴に当てはまる方は、スソワキガ(スソガ)である可能性が高いです。とはいえ、これはあくまでもセルフチェックですので、気になる方はクリニックや病院で相談してみてください。

スソワキガ(スソガ)以外でデリケートゾーンが臭う原因

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女性のデリケートゾーンは蒸れやすく、臭いが強くなりやすい部位です。それゆえに悩んでいらっしゃる方は少なくありません。ですが、デリケートな部分だけに周囲の人に相談しにくく、原因が分からずに1人でお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここではお悩みの方へ向けて、デリケートゾーンがスソワキガ(スソガ)以外で臭う原因について解説していきます。

下着やナプキン

通気性の悪い下着やナプキンなどの生理用品の長時間利用は、デリケートゾーンが臭う原因となります。デリケートゾーンは、汗やおりものによって蒸れやすい環境なので、雑菌が繁殖しやすい状態です。そして、雑菌は汗などに含まれるタンパク質や脂肪を分解することで臭いを発します。
こうしたことが原因で、スソワキガ(スソガ)でなくともデリケートゾーンは臭いやすく、スソワキガ(スソガ)の場合ではこれらの臭いと混ざるようになります。臭いが気になる場合は、通気性の良い下着の検討やナプキンなどをこまめに交換するようにしましょう。

恥垢

恥垢は、排泄物やおりもの、汗や皮脂などが合わさって固まった垢です。女性器の構造は個人差はありますが、その構造は複雑で恥垢が溜まりやすくなっています。白くべたべたとした見た目をしており、脂が混ざっていることからシャワーのみで落とし切ることができません。
恥垢をそのままにしておくと、雑菌が繁殖して臭いの原因になったり、感染症にかかりやすくなります。恥垢を取り除くには適切なケアを必要とし、爪を立てて落とすなど不適切なケアを続けると、より溜まりやすい環境を作ってしまうため、注意が必要です。

<恥垢についてのコラム>
恥垢とは?溜まりやすくなる原因と治療法の解説

洗いすぎ

デリケートゾーンは洗浄も必要ですが、洗いすぎはよくありません。臭いが気になるからとお風呂やトイレのビデなどで洗う方もいらっしゃるでしょう。ですが、洗いすぎたり、毎回のようにビデをすると、おりもので保たれている膣内のバランスが崩れてしまいます。その結果、雑菌が増殖してしまい、痛みやかゆみなどの症状も起こすこともあります。
また、デリケートゾーンは皮膚が薄いので、ごしごし擦る洗い方もおすすめしません。摩擦で黒ずんだり、皮膚が炎症を起こしてしまうためです。

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性感染症や炎症

おりものには自浄作用があり、雑菌などが繁殖しないように働きます。ですが、性感染症や炎症が起こると、膣内ではおりものが多く分泌されたり、おりものの臭い自体が強くなることがあります。おりものの臭いが普段と異なる時は、医療機関へ相談してみてもいいかもしれませんね。

スソワキガ(スソガ)を含むデリケートゾーンが臭う時の治療法

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ヴェアリークリニックで行なわれている、スソワキガ(スソガ)を含むデリケートゾーンの臭いを改善する治療方法をここでは紹介します。

ボトックス治療

ボトックス注射は、ボツリヌス菌の作り出す「A型ボツリヌス毒素(天然のたんぱく質)」を筋肉に注入することで、小顔やシワ改善などの美容効果が期待できる治療法です。
※正式にはアラガン社の製品をボトックス(BOTOX®)と言います。

このボトックス注射には、エクリン腺の働きを抑え汗の分泌を抑制し、ドライな状態を保ち菌が繁殖するのを抑える効果が期待できます。スソワキガ(スソガ)の場合、外性器周辺と陰毛部に少量ずつ注射を打ちます。切開による傷やひきつれのリスクが少なく、かつ汗の分泌とともに脂肪腺の働きも抑制できるのが特徴です。

施術時間は15分程度。半年から10ヶ月間くらいは効果が持続します。繰り返し施術を重ねることで、汗腺の機能が徐々に弱まり持続時間が長くなったり、効果が高まったりもします。ただし、一度に大量のボツリヌストキシンを注入しても効果が長くなることはないため、効果が切れたら次の施術を検討するようにしましょう。

小陰唇縮小手術

小陰唇縮小手術は、肥大した小陰唇や左右差のある小陰唇にメスを入れ、バランスよく整える施術です。

小陰唇を含む女性器は複雑な構造をしているため、恥垢と呼ばれるおりものや汗などが固まった垢が溜まりやすい環境です。小陰唇が肥大していると恥垢がより溜まりやすくなったり、尿などの汚れもつきやすくなるので、ますます臭いが気になるようになります。小陰唇縮小手術で小さく整えることで、洗いやすくなったり、尿が残りにくくなるといったことが期待できます。

施術時間は片側15〜30分。抜糸のありなしで施術時間が異なります。施術直前に完成形をデザインし、皮膚用のペンで切除するラインを描きます。その後、局所麻酔、デザインしたラインに沿ってメスで小陰唇を切り取り、専用の細い糸で縫合したら手術終了です。

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副皮切除

副皮切除は、副皮を切除し、見た目のバランスを整える施術です。陰唇縮小術やクリトリス包茎手術と組み合わせて受けられる方もいらっしゃいます。

副皮とは、小陰唇とクリトリス包皮の間にあるひだ状の皮膚です。副皮は解剖学的には正式名称ではなく、いわゆる俗称です。個人差が大きく、二重三重である方や片側だけの方、ほぼ存在しない方もいます。小陰唇同様に汚れが溜まりやすい部位なので、切除することで臭いの原因の1つである恥垢が溜まりにくくなる効果があります。

施術時間は20分程度。こちらも抜糸のありなし、また副皮切除は他の施術と組み合わせることが多いので、施術時間は前後します。副皮自体は切りすぎて問題になることはあまりありませんが、その周囲の部位が引っ張られて痛みの原因になることがありますので、デザイン決めが最も重要です。

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クリトリス包茎手術

クリトリス包茎手術は、クリトリスにかぶさっている皮膚の余分な部分を切除して縫合する施術です。

クリトリスとは、神経が集中していて、快感に影響する部位です。これが包皮で完全に隠れてしまっているのが、クリトリス包茎の状態となります。この部位も汚れが溜まりやすく、臭いが気になる方も少なくはありません。包皮を適度に取り除いて露出させることで、臭いの改善や感度アップに期待できます。

施術時間は30分程度。クリトリス包茎にも抜糸のありなしがあり、組み合わせる施術によって全体的な施術時間は異なります。切りすぎると下着と擦れて痛いなどの逆効果となることもあるため、術前評価がとても大切です。

コラムバナー_クリトリス包茎手術

女性のスソワキガ(スソガ)対策

デリケートゾーンが臭いやすいことは前述の通りですが、日常生活でできるスソワキガ(スソガ)対策もあります。ぜひ参考にしてください。

通気性の良い下着や生理用品

臭いがバレないように通気が良くない下着や生理用品を着用すると、スソワキガ(スソガ)の原因である汗をかきやすくなります。おりものシートなどをこまめに交換することで臭いが緩和されやすくなるでしょう。

デリケートゾーンを正しく洗う

デリケートゾーンを正しく洗うことで、膣内や膣周辺のトラブルを防ぐこともできます。

  • シャワーやビデをやりすぎない
  • 保湿してもすぐに下着を身につけない
  • トイレットペーパーで擦らない
  • 泡立てて、優しく洗う

上記のようなことに加えて、デリケートゾーン専用ソープに頼ってみるのもよいかと思います。

アンダーヘアを処理する

毛は臭いの原因となる物質が蓄積する面積が大きくなる要因です。例えばですが、焼肉屋さんへ行ったあとやタバコなどの臭いが強いものに近寄ると、髪の毛が臭うことはありませんか?それと同じことがアンダーヘアでも起こりうります。アンダーヘアを処理することで蓄積されにくくなるので、適切に処理するとスソワキガ(スソガ)の臭いが軽減されます。

まとめ

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スソワキガ(スソガ)に限らず、デリケートゾーンは臭いが気になりやすい部位です。日頃の対策では改善できない場合は、ぜひ医療の力を頼ってください。ヴェアリークリニックでもデリケートゾーンの様々な治療を行なっています。まずは無料カウンセリングにて、ご相談くださいね。

この記事を監修した医師

ヴェアリークリニック院長

井上 裕章

医師プロフィール

2014年東京大学医学部卒業。外科専門研修を修了、外科専門医を取得を経て、2019年に東京大学医学部附属病院にて勤務。性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を専門とする外科診療に従事してきた。その過程で下半身の美容的な悩みを抱える患者さんから相談が多く寄せられるようになるが、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関が存在しないことを知る。自身で立ち上げるために各分野の美容系クリニックにて修練を重ねたのち、2022年に「veary clinic」 を開院。自らの骨盤臓器と下肢に対する外科治療の経験および解剖の知識を生かしつつ、最善の治療を患者さんに提供している。日本外科学会認定外科専門医。日本外科学会、日本性機能学会、日本フットケア・足病医学会、日本大腸肛門病学会に所属している。