マッサージピールとは?効果やダウンタイム・目安の施術回数など解説

2023.05.30

  • 治療機材

この記事を読んでいるあなたは

  • マッサージピールとは?
  • マッサージピールの効果を知りたい
  • セルフ施術によるリスクを知りたい

上記のように考えているかもしれません。

この記事ではそんなあなたに「マッサージピールの効果やリスクについて解説」をお伝えしていきます。

マッサージピールとは

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マッサージピールとは、イタリア製の薬剤である「PRX-T33」を使ったピーリングです。施術により、肌の治癒能力が促進されてコラーゲンの産生が増えるため、「コラーゲンピール」とも呼ばれています。

一般的なケミカルピーリングは、肌に少なからず刺激を与えるもので、施術後のメイクやスキンケア用品にも制限があります。一方、マッサージピールは、皮膚を剥離せずに真皮層まで美容成分を浸透させることができます。ケミカルピーリングよりも刺激が少ないので、施術による痛みを抑えられ、ダウンタイムが短くできるのが特徴です。

マッサージピール(PRX-T33)の成分

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マッサージピールで使う薬剤であるPRX-33です。PRX-33には、主に以下の3つの成分が含まれています。

  • トリクロロ酢酸
  • 過酸化水素
  • コウジ酸

それぞれの成分について、ここでは解説していきます。

トリクロロ酢酸

肌のターンオーバーを促進し、コラーゲンの産生を促す成分です。
トリクロロ酢酸は表皮だけでなく真皮まで働きかけ、角化細胞や繊維芽細胞の増殖因子を活性化し、皮膚を再生する効果に優れています。このように効果の強いトリクロロ酢酸ですが、実は、ピーリング作用が強力な薬剤です。副作用である剥離や赤みが強く出るため、以前は使用が控えられていました。
しかし、後述する過酸化水素による効果でトリクロロ酢酸の効果を得つつ、お肌への刺激を最小限にすることが可能になりました。

過酸化水素

皮膚の剥離を抑え、コラーゲンの産生をサポートする成分です。前述の通り、過酸化水素はトリクロロ酢酸によるお肌の刺激を抑える効果があります。肌とのなじみがよく、皮膚に塗布後トリクロロ酢酸よりも早く浸透することでお肌を守ります。

コウジ酸

麹から発見された天然由来の美白成分です。メラニンの合成に必要な酵素である「チロシナーゼ」や「TRP-2」を抑える効果があります。そのため色素が生成されにくく、高い美白効果が期待できます。

マッサージピールで期待できる改善効果

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マッサージピールは、以下のような肌のお悩み解決を期待できます。

お肌のハリ・小じわ改善

マッサージピールには、お肌のハリや小じわの改善に効果が期待できます。失われたハリや小じわは年齢を重ねると気になる方も増えてくる方も多いでしょう。
ですが、その原因には、乾燥や紫外線からのダメージなども関係しています。お肌はダメージを受けると、肌を構成する「真皮」という部分の「コラーゲン」と「エラスチン」が減少したり、破壊されます。真皮はお肌の土台です。土台である部分が崩れると、お肌の表面である「表皮」をが支えきれなくなり、ハリや小じわが目立ちやすくなります。
しかし、マッサージピールは、お肌の自然治癒力を活性化したり、施術から数ヶ月ほどコラーゲンの産生を活発にします。その結果、お肌のハリがアップしたり、小じわが目立ちにくくなります。

シミ・くすみ

マッサージピールは、シミやくすみの改善も目指すことも可能です。前述の通り、施術で用いる薬剤には、美白効果のあるコウジ酸が含まれています。コウジ酸は、メラニン生成に関わる酵素の働きを抑えることで、色素沈着を起こりにくくします。また、コウジ酸にはお肌の糖化を抑える作用もあるため、加齢による黄ぐすみにも効果的です。

ニキビ跡

マッサージピールは、軽度であればニキビ跡によるクレーター肌の改善も図れます。ニキビ跡は、炎症に毛穴の周りの組織がダメージを受け跡になっている状態です。ダメージが真皮まで及ぶと、肌のターンオーバーで治ることは難しいでしょう。
しかし、マッサージピールで中期的にコラーゲンの産生をサポートすることで、肌がふっくらするため、肌の凹凸が目立ちずらくなります。また、マッサージピールは美白効果もあるので、ニキビ後の色素沈着の改善を目指せます。

妊娠線やストレッチマーク

妊娠や体重増加により、急激に皮膚が伸展すると、真皮層が断裂を起こして傷跡になります。これらは妊娠線やストレッチマークと呼ばれています。月日の経過とともに赤紫色から白色に変化しますが、傷跡が治りにくいため気にされる方も少なくはないでしょう。
こうした傷跡にもマッサージピールは有効です。コラーゲンの産生効果によって、お肌の修復を促し、体に残っている妊娠線やストレッチマークも改善へと導きます。

マッサージピールを受けるメリット

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きれいなお肌を目指すための施術はいくつかありますが、マッサージピールには以下のメリットがあります。

複数のお悩みにアプローチ

マッサージピールは、前述のように様々な肌の悩みの解決へ導きます。施術では、ピーリング作用によるコラーゲンの産生と有効成分による美白効果を得ることが可能です。肌のハリ、小じわ、ニキビ跡やたるみ毛穴、シミやくすみなど、複数のお肌トラブルにアプローチできます。
加えて、年齢を重ねていくと肌の悩みは1つだけでなく、複数になることもあります。マッサージピールなら、1つの施術でさまざまな肌の悩みの改善を図り、美肌を目指すこともできるでしょう。

施術直後から効果を実感

マッサージピールは施術直後から効果を感じていただくことができます。美容施術の中には、ダウンタイムが過ぎてからようやく効果を実感できるものも多いですが、マッサージピールは早い効果を得たい人にも適しています。
すぐに効果が出るなら、続きにくい一過性の効果にしかならないのでは?と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、施術後から中期的にコラーゲンの産生が活発化する効果は継続するため、効果がすぐ途切れないのもマッサージピールの魅力です。

肌質を問わずに受けられる

マッサージピールは一般的なケミカルピーリングと異なり、マイルドな薬剤を使用します。肌への刺激が少ない施術なので、肌質を問わずに施術を受けられます。これまで肌が敏感で、ケミカルピーリングが受けられなかった人も、施術を受けることが可能です。個人差があるものの、マッサージピール後に肌に赤みを生じることがありますが、施術後の皮むけがほとんどないので、施術後直後のメイクもできます。

短時間の施術

マッサージピールは薬剤を肌に塗って、少し時間を置いてから洗い流す工程で施術が完了します。トータルの施術時間は10〜15分程度と短時間で済むので、仕事や学校、育児で忙しい女性もスケジュールを組みやすい施術です。

1回の施術でも十分効果を得られますが、繰り返し施術を受けることで、長期的にコラーゲン産生や美白効果を期待できます。マッサージピールなら、肌の悩みや状態に合わせて施術を受けやすいでしょう。

マッサージピールのダウンタイム

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ほとんどありません。施術当日から化粧してお帰りいただけます。
また、お肌のターンオーバーから皮膚がポロポロと剥けてくることもありますが、2〜3日程度でおさまります。

マッサージピールで効果を実感できる施術回数

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ハリツヤなどは初回から感じられる人も多いです。肌質の改善は5回くらいからの人が多く、定期的に施術を受けられることをおすすめいたします。

マッサージピールとケミカルピーリングの違い

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美容医療で受けられるピーリングには、これまで紹介してきた「マッサージピール」と「ケミカルピーリング」がありますが、この2つの違いが分からないというお声をカウンセリングでもお聞きします。ここでは、その違いについて触れていきたいと思います。

作用する部位の違い

マッサージピールは真皮層へ作用しますが、ケミカルピーリングは角質層へ作用します。要は、お肌の奥へアプローチするか、お肌の表面にアプローチするかの違いです。

効果の違い

先ほど、作用する部位に触れましたが、アプローチする部位が違うということは効果も異なってきます。マッサージピールはお肌の土台から改善していく施術ですが、ケミカルピーリングは古い角質の除去や毛穴汚れを排出し、お肌の表面を整える施術です。イチゴ鼻やその他毛穴黒ずみの改善に高い効果を発揮します。

ダウンタイムの違い

ダウンタイムの短いマッサージピールに対し、ケミカルピーリングは薬剤や濃度によって、ダウンタイムが長期間必要になることもあります。皮膚が剥離するため、炎症やかさぶたになることもあるので、事前にお肌の状態や大切なご予定などをしっかり相談の上、受けるようにしましょう。

マッサージピールの注意点

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肌への刺激を抑えながら施術が可能なマッサージピールですが、施術を受けるときには、いくつかの注意点があります。

副作用のリスク

マッサージピールは、その他のケミカルピーリングよりも肌への刺激が少ないですが、副作用のリスクもあります。赤みや皮膚の剥離(皮むけ)が起こることもありますが、多くの場合、1週間ほどで落ち着いてきます。施術による副作用は、施術直後ではなく3日後くらいに現れることもあるので、適切なスキンケアに努めましょう。

施術後のスキンケアに制限

マッサージピールは施術後も、メイクやスキンケアをすることができます。ただ、肌に優しめの施術といっても、ピーリングにより肌が敏感になっていることには変わりません。施術後は肌が乾燥しやすくなることもあるので、毎日のスキンケアで保湿をきちんと行いましょう。

また、施術後は紫外線対策もしっかり行ったり、肌への強い刺激も抑えたりすることも大切です。

継続した施術が効果的

マッサージピールは1回の施術でも効果がありますが、継続して施術を受けると、持続的な効果を得られます。肌の悩みや状態にもよりますが、最初は1〜2週間に1回を目安に受けて、その後は毎月受けるとよいでしょう。

実際の施術頻度については、施術を受けるクリニックに相談してみてください。

人によっては施術を受けられない

マッサージピールは敏感肌の人も受けられる施術ですが、以下の人は施術を受けられません。

  • 薬剤の成分にアレルギーがある方
  • アルコールに敏感な方
  • 妊娠または授乳中の方
  • 皮膚に強い炎症がある方(ニキビやアトピーなど)
  • ハイドロキノンやトレチノイン、ベピオゲルを使用中の方

ハイドロキノンやトレチノイン、ベピオゲルを使用中の方は、施術前後で使用の間隔を空けていただくように注意しています。望まぬ肌トラブルを避けるためにも、施術前後では上記を含んだ製品の使用には気をつけましょう。

マッサージピールの組み合わせ施術

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マッサージピールはその他の美容施術と組み合わせることでより高い効果を期待できます。ヴェアリークリニックでできるマッサージピールと併用施術は以下になります。

ヴェルヴェットスキン

「ヴェルヴェットスキン」はマッサージピールとダーマペンの組み合わせ施術のことで、名前の通り、ヴェルヴェットのようななめらかな肌を目指せる施術です。

ダーマペンは、極細針で肌に無数の穴を開けて、皮膚の自然治癒力をサポートする施術で、ダーマペンの後にPRX-33を塗ります。ヴェルヴェットスキンの施術では、ダーマペンで肌に穴が開いている状態なので、薬剤成分が肌の奥まで浸透します。マッサージピールを単独で行うよりも、施術後の肌への刺激を感じやすいですが、相乗効果を期待できます。

ヴェルヴェットヒップ

ヴェルヴェットスキンはお顔への施術ですが、ヴェルヴェットヒップは「お尻」への施術です。組み合わせはヴェルヴェットスキンと変わりありませんが、当院では、ヒップの解剖学的構造をもとに、ダーマペンの針の深さや薬液の配合について検討を重ね、最適と考えられる治療を提供しています。
ヒップのケアは難しかったり、手が回りにくいこともあるでしょう。そうした方には、ヴェルヴェットヒップはぴったりです。美しいお顔と同様に美しいヒップのケアがしたい方におすすめしています。

セルフ施術によるマッサージピールのリスク

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マッサージピールはPRX-33を肌に塗って洗い流すだけの施術なので、薬剤を購入すれば「自宅でできるのでは……」と考える人もいるかもしれません。しかし、マッサージピールは医療施術です。適切な方法で行われない施術では、失敗する可能性があります。ここでは、マッサージピールをセルフで行うリスクについて解説します。

薬剤の品質が保証できない

インターネットを通じ、個人輸入される方もいらっしゃるでしょう。しかし、マッサージピールの薬剤は本来、医療機関のみで取り扱いのある薬剤です。個人輸入では、マッサージピールの偽物や粗悪品など、薬剤の品質に保証ができないものを入手する可能性があります。

薬剤が劣化する

マッサージピールで使うPRX-33は、冷蔵保管する必要があります。ですが、個人輸入した薬剤は、配送方法や保管方法が不明です。そのため、正しく管理がされていなかったり、品質が劣化しているかもしれません。そうした薬剤を使用してしまうと、お肌の状態が悪化したり、アレルギー症状が起こっても対処が難しくなることもあります。

効果を実感できない

簡単に見えるマッサージピールですが、当院では効果を最大限に提供できるように十分な研修とトレーニングを積んだ有資格看護師しか行えません。医療機関では、患者様のお肌の状態に合わせて適切な強度でマッサージしたり、お悩みや希望に合わせて施術することでお悩みの改善をします。そのため、セルフで施術すると「効果が感じられない」、もしくは「効果が薄くなる」可能性があります。
また、マッサージピールの治療間隔を開けすぎることも上手く効果が発揮されない要因です。お悩みによっては複数回必要になる方もいますが、間隔の見極めができないと治療が思った通りにならず、必要以上に費用がかさんでしまいます。

肌トラブルの可能性

間違った方法や力加減でセルフ施術を行うと効果を実感できないだけでなく、肌の状態が悪化することもあります。
症状としては、

  • 肌荒れ
  • 炎症
  • 色素沈着

ということがあげられます。SNSやブログなどで見聞きした方法で真似るセルフ施術は、意図しないトラブルに見舞われるリスクを高め、肌トラブルの悪化を招きかねません。施術前には医師が肌の状態を確認して施術可能かの判断、その時の適切な方法や力加減で施術という手順を踏んで行います。そうしたことをセルフで行うのは、大変難しいです。加えて、トラブルが起こった際の対応が遅れてしまい、肌トラブルが長引く場合もあります。

まとめ

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マッサージピールは、PRX-33という薬剤を用いたピーリングの施術で、シミやくすみ、ニキビ跡、毛穴の開きの改善を目指せます。PRX-33には、肌のコラーゲン産生を促す「トリクロロ酢酸」と「過酸化水素」や、メラニン色素の沈着を抑える「コウジ酸」が含まれています。

一般的なケミカルピーリングよりも肌への刺激が少なく、敏感肌の人でも施術を受けられます。当院でも、マッサージピールや組み合わせ施術を行っていますので、ご相談ください。

この記事を監修した医師

ヴェアリークリニック院長

井上 裕章

医師プロフィール

東大医学部卒業後、外科専門研修を修了し、外科専門医を取得。その後、性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を専門に外科診療にあたっているうちに、下半身の美容的な悩みを抱える患者さんの相談を多く受けるようになる。しかし、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関は存在せず、それぞれの分野に分かれて別個に診療されていることを知る。それでは、最善の治療が提供できないと考え、各分野の美容系クリニックでの修練を重ねたのちに、自らの骨盤臓器と下肢に対する外科治療の経験および知識を生かして、下半身に関する総合的かつ専門的な美容医療を提供するため、veary clinic を開設した。