ヒアルロン酸の種類とアラガン製や韓国製の特徴を解説

2023.05.17

  • 治療機材

この記事を読んでいるあなたは

  • ヒアルロン酸には種類があるのか
  • 韓国製とアラガン製ではどう違うのか
  • どの種類が自分に適しているのか

上記のように考えているかもしれません。

この記事は、「ヒアルロン酸の種類とアラガン製や韓国製の特徴を解説」までお伝えします。

ヒアルロン酸注射について

コラム35-1

ヒアルロン酸注射は、美容治療の中でも手軽に受けやすい施術です。ダウンタイムがほとんどなく、施術時間も短いため、働いていても休日や会社帰りなどの隙間時間に受けられる治療として人気があります。仮に失敗しても、ヒアルロン酸は時間が経てば身体に吸収される特性があるため、数年で元の状態に戻るのも気軽に試せるポイントです。

また、ヒアルロン酸には種類が数多く存在し、それぞれのヒアルロン酸で特徴が異なります。理想の状態へと近づけるには、使用目的や部位によってヒアルロン酸の種類を変えることも必要です。

ヒアルロン酸には種類がある?

コラム35-2

美容治療で使われているヒアルロン酸には種類があり、注入箇所や使用目的によって、使い分けられています。さらに製造元によって、採用している技術は異なり性質にも違いがあります。国内のクリニックで使用されているヒアルロン酸の大部分は、アラガン製と韓国製です。

上記のように様々なヒアルロン酸がありますが、クリニックのこだわりにより、アラガン製の製剤のみ使用、もしくは韓国製の製剤のみ使用、または両方を使用しているケースもあります。それぞれのヒアルロン酸製剤の特徴を知っておくことで、クリニック選びの参考にもなるので、一度整理をしておきましょう。

アラガン製ジュビダームビスタシリーズの特徴

コラム35-3

当院でも採用しているヒアルロン酸製剤の1つが、アラガン製のジュビダームビスタシリーズです。ヒアルロン酸製剤として厚生労働省から認可を得ており、次世代ヒアルロン酸とも言われています。このジュビダームビスタシリーズには種類があり、求める効果や部位に応じて最適な製剤が異なります。以下、ジュビダームビスタシリーズの製剤をまとめたものです。それぞれの製剤を詳しくみていきましょう。

種類 特徴 濃度 部位 持続期間(目安)
ボルベラXC 柔らかい 15mg/ml 唇・涙袋・リップライン
目元・口元・目周り
1年
ボリフトXC 柔らかくなじみがよい 17.5mg/ml ほうれい線・マリオネットライン
目尻のシワ・眉間のシワ
1~2年
ボリューマXC 注入した箇所に留まる 20mg/ml シワ・たるみ・顔の凹み 1~2年
ボラックスXC ジュビダームシリーズの
中でも最も硬い
テクスチャー
25mg/ml アゴ・鼻・鼻翼基部
深めのゴルゴライン
小鼻周りにボリュームアップ
1年半程度

ボライトXC

ジュビダームシリーズの
中でも最も柔らかい
テクスチャー
12mg/ml 肌のハリ・ツヤ・毛穴
額・首・頬のシワ
4〜9ヵ月

※濃度が高くなるほど硬さが増します。

ボルベラXC

ボルベラXCは、ジュビダームビスタシリーズの中でも特に柔らかいヒアルロン酸製剤です。ヒアルロン酸濃度が15mg/ml。薄くて柔軟なテクスチャーであり、繊細なパーツである唇のボリュームアップや涙袋を形成するのに適しています。

ボルベラ XCは以下のような施術におすすめです。

  • リップラインの形成
  • 目元・口元の小じわの解消
  • 目の上や目の下の凹みの解消
  • 涙袋の形成
  • 唇のボリュームアップ

皮膚が薄く繊細な箇所でも、プルンとした丸みを形成できるのがポイントです。唇はヒアルロン酸の減りが早い部位ともいわれているため、効果の持続期間は1年程といわれています。柔らかいヒアルロン酸製剤とはいえ、注入した箇所はしっかり形に現れます。そのため、医師の技量が問われるヒアルロン製剤です。唇や涙袋など繊細な箇所の治療は、信頼できるクリニックで治療しましょう。

ボリフトXC

ボリフトXCは、なじみがよくて柔らかいテクスチャーが特徴です。皮膚が薄い方が注入しても、仕上がりがナチュラルで違和感を感じにくいヒアルロン酸製剤といわれています。ヒアルロン酸濃度は17.5mg/ml。顔のよく動く部位で、かつ凹みを感じる部分に適している製剤で、自然なボリュームアップを叶えます。

以下のような症状に最適です。

  • ほうれい線のくぼみ
  • マリオネットライン
  • 目尻のシワ
  • 口周りの立てジワ
  • みけんのシワや溝の改善

持続性は比較的長い1〜2年です。皮膚表面のヒアルロン酸量が増えると、ヒアルロン酸が組織となじむため、肌が潤い、ツヤ感をアップさせる効果も期待できます。

ボリューマXC

国内にあるヒアルロン酸の中で、唯一「シワとみぞ治療」の両方に厚生労働省から承認を得ているヒアルロン酸製剤です。ヒアルロン酸濃度は20mg/mlと濃く、注入した箇所にしっかり留まる性質があります。そのため、ボリューマXCはジュビダームビスタシリーズの中では2番目の硬さのヒアルロン酸製剤となっています。

また、シワだけでなく、たるみにアプローチできる製剤であり、全体的なリフトアップやボリュームを回復するための治療として使用されます。ヒアルロン酸リフトが広まったのも、ボリューマXCが登場したことで、今までのヒアルロン酸の課題であった流れ落ちが改善され、リフトアップが可能になったためです。持続性がよく、1〜2年ほどかけ少しずつ吸収されていきます。

ボラックスXC

ボラックスXCは、シリーズの中でも最も硬いテクスチャーのヒアルロン酸製剤です。濃度は25mg/ml。形状維持の力があり、主にフェイスライン・頬・鼻などのシルエットを整えるのに使用されます。

ボラックスXCは以下のような治療に適しています。

  • 深めのゴルゴラインの解消
  • アゴをシャープに形成
  • 鼻を高く形成
  • 小鼻周りのボリュームアップ

通常、ヒアルロン酸濃度が上がると吸収率は上がりますが、ボラックスXCは吸収率が低いヒアルロン酸製剤のため、注入後も変形しにくいのが特徴です。ボラックスXCの登場により、ヒアルロン酸注射でシャープなシルエット形成も可能になりました。持続期間は1年半以上といわれています。

ボライトXC

肌質改善効果を得られるヒアルロン酸製剤がボライトXCです。若々しく健康的な肌づくりを目的とし、注入することで一枚フィルターをかけたような、内側から輝くツヤ肌を叶えます。注射によりコラーゲン生成が刺激され、表皮を厚くすることでハリや弾力を高めるのにも有効な治療方法です。

ボライトXCは以下のような方におすすめです。

  • 乾燥が気になる方
  • 肌に潤いやハリが欲しい方
  • 毛穴を改善しなめらかな肌になりたい方
  • 額・首・頬のシワが気になる方
  • 自然に印象チェンジしたい方

年齢が出やすい首は、治療が困難なパーツでしたが、ボライトXCは皮膚の浅い層に細かく打つことで、シワの改善が見込まれます。持続期間は4〜9ヵ月と、他のヒアルロン酸製剤と比べて短めです。

韓国製のヒアルロン酸の特徴

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韓国ではさまざまな会社がヒアルロン酸を開発しています。それぞれの特徴を見てみましょう。

スターフィル

コストパフォーマンスの高さで人気なのが「スターフィル」です。治療部位にあわせて3つのシリーズが展開されています。

  • Starfill Plus(ソフトタイプ:顔のシワ・目尻や頬周辺の細かいシワ)
  • Starfill Deep Plus(マイルドタイプ:眉間・額・ほうれい線など)
  • Starfill Implant Plus(ハードタイプ:アゴ・頬・輪郭形成など)

持続期間の目安は6ヵ月です。ヒアルロン酸注射を試してみたい方におすすめです。

クレヴィエル

クレヴィエルはアモーレパシフィック社のメディカルビューティ専門子会社「エストラ」が開発したヒアルロン酸製剤です。エストラは、病や医院を中心に専門家による革新的技術のビューティーソリューションを提供している会社です。ヒアルロン酸濃度が高いのが特徴で、通常は配合濃度20〜25%程度なのに対してクレヴィエルは50%あります。

鼻・アゴ・額を専門として使用されているヒアルロン酸製剤で、高さのある鼻の形成に適しています。強度は高いですが硬すぎず、ナチュラルに仕上がるのがポイントです。持続期間は半年〜1年程です。

ニューラミス

ニューラミスはバイオ医薬品の開発や製造、マーケティングを行う韓国の企業「メディ・トックス」の製剤です。韓国国内の製品を管轄する韓国食品医薬安全庁(KFDA)とEU の公的品質基準の策定を行う欧州医薬品品質理事会(EDQM)から認可を得ているうえに、原料は資生堂のものを使用しています。

凝集性に優れているヒアルロン酸製剤のため、注入部位に圧が加わっても注入後の形を維持できる特徴を持っています。また、皮膚への浸透性にも優れているため、注入後は皮膚組織となじみ、ナチュラルな仕上がりを楽しめます。持続期間は約半年〜1年です。

チャウム プレミアム

チャウム プレミアムは、高品質のボツリヌストキシン・ヒアルロン酸注入剤(フィラー)・スレッドリフトなどを製造する韓国の最大手製造メーカー「ヒューゲル社」のヒアルロン酸製剤です。

ヒアルロン酸の結びつきが強くなる、独自の製法「Bi-HEXA」を採用しているため注入後の形状を長く楽しめます。さらにヒューゲル社の新工法である「微細粒子均一化工法」により、自然なボリュームとハリ感を演出できるのもポイントです。持続期間は約半年〜1年を目安としています。

アラガン製ヒアルロン酸のメリット・デメリット

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世界的に多く使用されているアラガン製のジュビダームビスタシリーズ。アラガン製のヒアルロン酸は、不純物質に含まれるタンパク質が極めて少なく、アレルギー反応を引き起こしにくいとされ、初めて厚生労働省が認可したヒアルロン酸製剤であるため安全性が高いとされています。

アラガン製ヒアルロン酸のメリット

ジュビダームビスタの特徴は、アラガン社独自のバイクロス技術(VYCROSS)を採用している点です。これにより密度の高い網目構造の製剤が実現でき、美しい形状を長時間キープできるようになりました。通常、ヒアルロン酸は体内で分解されますが、密度が高いため分解する酵素や水分が入りにくい設計となっています。
さらに、注入した形を保つ弾性と凝集性に優れた構造であるため、注入した直後の状態を長く楽しめるのも特徴です。凝集性のバランスに優れているため、外部から圧を加えても形を保ちやすく、力を加えてもヒアルロン酸製剤が分散されにくくなっています。

以下、アラガン製ヒアルロン酸のメリットをまとめています。

  • 持続性に優れている
  • デザインした形をキープする力がある
  • 水低吸水性に優れ水を吸収しにくい
  • リフトアップ力が高い
  • 顔の組織になじみやすいナチュラルな仕上がり

アラガン製ヒアルロン酸のデメリット

アラガン製のヒアルロン酸は韓国製と比較すると、やや値段は高めの設定です。クリニックによっては、同じ1ccでも2倍以上の価格差がある場所もあります。

韓国製ヒアルロン酸のメリット・デメリット

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韓国製のヒアルロン酸は、さまざまな企業が製造しています。ここでは、韓国製ヒアルロン酸のメリット・デメリットを紹介しています。

韓国製ヒアルロン酸のメリット

韓国製のヒアルロン酸のメリットは、高級ヒアルロン酸として有名なアラガン製と比較しコストパフォーマンスに優れている点です。

しかし、ヒアルロン酸注射は持続期間があるため、理想の状態をキープするには定期的な治療を継続しなければなりません。さらに注入範囲が広がると、費用はその分高くなります。韓国製であれば大幅に予算を抑えられるため、気軽に試してみたい方にはおすすめです。

韓国製ヒアルロン酸のデメリット

韓国製のヒアルロン酸製剤は価格が安いため、偽造品や不正な製品が流通する可能性もあります。そのため、韓国製のヒアルロン製剤を使用するときは信頼できるクリニックで受けるようにしましょう。

ヒアルロン酸注射を決めるときの注意点

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ヒアルロン酸には種類があり、治療の目的や効果により使用する製剤が異なります。さらに、同じヒアルロン酸の種類を使用しても、医師の技量によって仕上がりが左右されます。

ヒアルロン酸注射を決めるときは以下の点を理解しておきましょう。

ヒアルロン酸製剤によって価格が異なる

上記で紹介したように、ヒアルロン酸注射にはさまざまなヒアルロン酸製剤が使用されており、それぞれ特徴が異なります。さらに薬剤や注入箇所によって価格が異なるため、最終的な価格はカウンセリング次第で変わります。

また、アラガン製と韓国製によっても費用が大きく変わるため、まずクリニックに相談しましょう。

医師の腕により仕上がりが変わる

ヒアルロン酸注射は低リスクで手軽に受けられる治療ですが、医師の技量により仕上がりが左右してしまうことは覚えておきましょう。経験が不足している医師が施術すると、以下のようなリスクを伴います。

  • 肌表面に凹凸ができる
  • 左右差がでる
  • 痛みが伴うこともある
  • 理想の仕上がりと違うこともある

ヒアルロン酸の種類によって、濃度や硬さ、粘度などが異なるので、適量を見極める必要があるのが、ヒアルロン酸治療です。施術前にはカウンセリングを行い、注入バランスをデザインします。この段階で理想のイメージやのデザインに齟齬が無いかしっかりと話し合います。

副作用のリスクもある

ヒアルロン酸は、一般的に安全性が高い治療と考えられていますが、副作用が生じる可能性はゼロではありません。注入する場合、軽度の腫れや赤みなどの一時的な副作用が発生することもあります。さらに顔は血管や神経が多く存在する箇所であり、失敗した事例として稀に皮膚壊死や失明などの重度な症状などの報告もあります。

一生はもたない

どの種類のヒアルロン酸にも持続期間があります。そのため、一度注入したとしても、注入後の状態を一生キープできません。ただし、何度も注入をくり返せば、持続期間が伸びるとも言われています。

ヴェアリークリニックでのヒアルロン酸製剤使用用途

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ヴェアリークリニックでは、以下のような治療にヒアルロン酸製剤を使用しています。

  • 名器形成
  • Gショット
  • 大陰唇ヒアルロン酸
  • 顔への注入
  • 亀頭増大

ヒアルロン酸施術は、切る施術と比較するとダウンタイムや痛みも少なく、施術時間も少ないため、気軽に受けられることがメリットです。

まとめ

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ヒアルロン酸注射に使われるヒアルロン酸製剤は細かく種類が分かれており、それぞれに特徴や使用用途が分かれています。当院でも国内でシェアの高いアラガン製を名器形成に使用しています。アラガン製のジュビダームビスタは厚生労働省が認可したヒアルロン酸製剤であるため、安全性の高さが保証されていますが、ご不安がある方はカウンセリングにて気軽にお尋ねください。

この記事を監修した医師

ヴェアリークリニック院長

井上 裕章

医師プロフィール

2014年東京大学医学部卒業。外科専門研修を修了、外科専門医を取得を経て、2019年に東京大学医学部附属病院にて勤務。性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を専門とする外科診療に従事してきた。その過程で下半身の美容的な悩みを抱える患者さんから相談が多く寄せられるようになるが、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関が存在しないことを知る。自身で立ち上げるために各分野の美容系クリニックにて修練を重ねたのち、2022年に「veary clinic」 を開院。自らの骨盤臓器と下肢に対する外科治療の経験および解剖の知識を生かしつつ、最善の治療を患者さんに提供している。日本外科学会認定外科専門医。日本外科学会、日本性機能学会、日本フットケア・足病医学会、日本大腸肛門病学会に所属している。