小陰唇の黒ずみができる原因は?解消するためのケアや治療について

2023.05.08

  • 女性器形成

この記事を読んでいるあなたは

  • 小陰唇の黒ずみができる原因が知りたい
  • 小陰唇の黒ずみのケアについて知りたい
  • 小陰唇の黒ずみの治療方法が知りたい

上記のように考えているかもしれません。

小陰唇の黒ずみについて

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小陰唇の黒ずみが原因で、デリケートゾーンの見た目にコンプレックスを感じていませんか?小陰唇の黒ずみは人種や個人差がありますが、生活習慣などが原因で色素沈着が悪化することがあります。この記事では、小陰唇の黒ずみの状態や色が悪化する原因、治療法について解説しています。

小陰唇とは?

小陰唇は膣の両脇にあるヒダ様の組織で、膣口や尿道口の入り口を保護する役目があります。小陰唇のヒダの色は人種や遺伝の影響が大きく、黄色人である日本人はメラニン色素の量が多いため、ピンク色ではなく紫色がかっていることが多いです。

小陰唇の黒ずみ

小陰唇の色は女性ホルモンの分泌とも関連があります。赤ちゃんや学童期の女子は、女性ホルモン分泌が活発でないため、小陰唇がピンク色をしていますが、思春期になると女性ホルモンの分泌が増えるため、紫がかったような色になります。

これは、女性ホルモンである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」がメラニン色素の産生に関わるメラノサイトを刺激するためです。ただし白人の場合、もともとメラニン色素の量が少ないため、思春期を過ぎても小陰唇がピンク色のままであることが多いとされています。
また、黄色人種である日本人も、閉経して女性ホルモンの分泌が急激に減少すると、小陰唇の色はピンク色になります。

デリケートゾーンの黒ずみ

その他にも、乳首やデリケートゾーンは色素沈着しやすく、気にされる方も少なくはないでしょう。そうした思想には、乳首やデリケートゾーンはピンク色を良しとする風潮があるためかもしれません。
小陰唇を始めとして、乳首やデリケートゾーンは人の目に触れにくく、他人と比較するのが容易でない箇所です。ですが、「小陰唇に黒ずみがある」と訴える女性の中には、生理的に紫色がかかっているだけというケースも少なくありません。
1人で悩みを抱え込まずに専門家へ相談すると解決へ近づけるでしょう。

小陰唇の黒ずみが悪化する原因

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思春期を迎えると、小陰唇に色素沈着が起こり紫っぽい色になります。しかし、思春期以降の生活習慣が原因で黒ずみが悪化することもあります。小陰唇の黒ずみが悪化する原因には以下のものがあるので、確認していきましょう。

小陰唇への摩擦が加わる

生活の中で、デリケートゾーンへの摩擦が重なると、小陰唇が黒くなる原因となります。具体的な例としては、

  • お風呂で強くこすりながら洗う
  • ショーツや下着の摩擦
  • トイレットペーパーで強くこする

が挙げられます。これらの行為は小陰唇の肥大化へ繋がることもあり、肥大化した小陰唇へ摩擦や物理的な接触が加わり黒ずみが悪化するといった悪循環に繋がるので、注意してください。

小陰唇のかぶれ

雑菌の侵入などにより小陰唇のかぶれが続くと、ヒダの黒ずみが濃くなることがあります。これは、皮膚や粘膜の細胞で炎症が長引くと、炎症性色素沈着が起こるためです。メラノサイトが刺激され続けるので、こちらも症状が長引くと黒ずみが悪化する悪循環が続くようになります。
かぶれには、生理用ナプキンや経血が原因となることが多く、小まめに交換することでかぶれ以外にも感染症の対策となることがあります。

ターンオーバーの乱れ

通常、摩擦や炎症により沈着したメラニン色素は、少しずつ排出されていきます。
しかし、ターンオーバーが乱れていたり、色素沈着の原因である摩擦や炎症が続いていると、黒ずみがいつまでも残る原因となります。
ターンオーバーが乱れていると、デリケートゾーンは顔などの皮膚と比較して薄いこともあって、完全にキレイになるまでに半年ほどかかる場合もあり得るでしょう。

妊娠によるもの

妊娠により女性ホルモンの分泌が活発になると、小陰唇がさらに紫がかった色へと変化します。また、妊娠中はデリケートゾーンへの血流が増えて、小陰唇もふっくらするため、黒ずみが目立つことがあります。
こちらは一時的な変化であることが多く、産後に女性ホルモンが安定してくると黒ずみが落ち着いてくることがほとんどです。

小陰唇の黒ずみは豊富な性経験によるものではない

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小陰唇の黒ずみの原因について、「性経験が多いこと」が原因と思っている方や指摘された方もいらっしゃるでしょう。
確かに、性交時のペニスの挿入により、小陰唇であるヒダが多少こすれることはあります。ですが、小陰唇は膣の両脇にあるものです。よって、性交渉時に大きな摩擦が加わることはありません。

また、前述したように、日本人であれば思春期に小陰唇の色が紫がかった色になります。加えて、妊娠期にヒダの色が濃くなることも多く、小陰唇の黒ずみが悪化する原因となりやすいのは、摩擦や炎症による色素沈着です。

よって、「小陰唇の黒ずみの原因が性経験によるもの」というのは、噂や偏見が独り歩きし、誤解であると言えるでしょう。とはいえ、色素沈着のある小陰唇よりも、ピンク色の小陰唇に好印象を抱く人が多いようです。

小陰唇の黒ずみを悪化させないためのケア

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小陰唇の色素沈着が気になる人は、黒ずみを濃くしないことも大切です。小陰唇の黒ずみの悪化を抑えるためのセルフケアには以下のものがあります。

専用のクリームを塗る

市販の化粧品の中には、デリケートゾーンの黒ずみ用クリームが市販されています。黒ずみ用クリームの多くは、トラネキサム酸・ハイドロキノン・ビタミンC誘導体などの美白成分が含まれています。製品の中には、美白成分以外にも保湿成分や抗炎症成分入りのクリームもあり、小陰唇を健やかに肌を保つのに役立ちます。

こうした小陰唇の黒ずみ用クリームの中には、「ピンク色になる」と大々的な効果を謳っている製品もありますが、実際のところ、市販の化粧品では医薬品のような強い効果は期待できません。
そのため、すでにある色素沈着を薄くするのではなく、これ以上濃くならないようにサポートするためのものといえます。

また、小陰唇は粘膜様の組織なので、肌に合わないクリームを使うと、炎症やかぶれを起こす原因になります。はじめて専用クリームを使用される際は、まずは少量から手に取ってみてください。

デリケートゾーンの摩擦を避ける

小陰唇の黒ずみが気になる人は、ヒダへのこすれや摩擦を避けることが大切です。デリケートゾーンの臭いが気になって、お風呂の時に石鹸でゴシゴシ洗う人も多いですが、泡で優しく洗うようにしましょう。膣には自浄作用があるので、強く洗い過ぎる必要はありません。

また、トイレでデリケートゾーンを拭くときは、ペーパーで強くこすり過ぎないように意識するのもよいでしょう。肌に優しい柔らかい紙質のペーパーを選ぶのもおすすめです。

肌に合った下着や生理用品を使う

小陰唇の黒ずみの原因が炎症によって起こっている場合は、デリケートゾーンのかぶれを予防することが大切です。毎月の月経による経血や理用品で、小陰唇に炎症を起こすこともあります。

加えて、肌が敏感な人は、ショーツで接触性皮膚炎を起こすこともあります。肌質にもよりますが、化学繊維は肌への摩擦が強くかぶれることがあるので、綿やシルクなどの肌に優しい素材を選ぶとよいでしょう。

生活を整える

メラニン色素の排出をサポートするには、規則正しい生活を送ることが重要です。色素沈着の悪化による黒ずみは、肌のターンオーバーとともに薄くなります。しかし、肌の生まれ変わりは成長ホルモンの分泌が高まる睡眠時に行われるので、十分な睡眠を取るようにしましょう。
また、肌のターンオーバーをサポートするには、肌の材料となる栄養素をバランスよく取ることも大切です。毎日の食事の中で、タンパク質やビタミン類などを積極的に取るようにしてください。

小陰唇の黒ずみに対する治療

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クリニックで行われている小陰唇の黒ずみの治療にはいくつかの種類があります。治療方法によってアプローチの仕方は異なりますが、理想のピンク色にするというよりは、過剰な色素沈着を改善して違和感のない色合いを目指すものです。

小陰唇の黒ずみの改善を目指す主な治療には以下のものがあります。場合によっては、複数の治療を併用して行うこともあります。

小陰唇縮小術

小陰唇縮小術は、ヒダを小さくするための施術です。小陰唇のヒダが大きいと摩擦を受けやすくなります。摩擦によって、痛みや出血だけでなく、黒ずみが起こりやすくなるため、小陰唇が肥大化している方におすすめの施術です。

実際の施術では、ヒダの大きさとのバランスを見ながら黒ずみ部分の切除範囲をデザインします。そうして黒ずみのある部分を切除することで、自然な色合いのすっきりした印象のヒダを目指しますが、ヒダが小さめの方は施術の適応とならない場合があります。

切って縫うだけの単純な施術に思われますが、小陰唇は粘膜様の組織であり、縫合の技術により見た目に大きな差を生じます。そのため、施術は婦人科形成に長けた専門医の施術を受けるのがおすすめです。

外用薬

外用薬を塗ることで、小陰唇の黒ずみの改善へ導きます。小陰唇の黒ずみでよく用いられるのが以下の2つです。

ピンクインティメント

デリケートゾーンの色素沈着改善をするための医療用ピーリング剤です。ピーリング作用のある「クロロ酢酸」には、メラニン色素の沈着を抑える「コウジ酸」の他、肌の新陳代謝を促進する成分も含まれています。デリケートゾーンだけでなく、ひざやひじ、脇などの黒ずみにも使用可能な製品で、刺激やダウンタイムが少ないことが特徴です。

シスペラ

シスペラは、システアミンという美白成分が配合されている外用薬です。ハイドロキノンの4倍の美白効果に加え、抗酸化作用に期待できます。もともと体内にあるアミノ酸の一種でもあり、小陰唇のようにデリケートな箇所にも使えるメリットがあります。
使用方法については、塗布してから15分後にぬるま湯などで洗い流すだけです。

切らない治療

小陰唇の黒ずみを改善するために、手術を避けたい人に適しているのが切らない治療です。切らない治療では、レーザーを使用して小陰唇の黒ずみを改善し、自然な色合いのあるヒダを目指します。

インティマレーザー

デリケートゾーン専用のレーザーで、尿漏れや膣の引き締め治療に用いられますが、小陰唇の黒ずみの改善を図れます。皮膚や粘膜のごく表面をピーリングすることで、小陰唇の黒ずみを薄くしていきます。1回の施術でも効果を実感できますが、照射を重ねることで、色素沈着の改善を叶えます。

ピコレーザー

衝撃波により、メラニン色素の粉砕を目指すレーザー治療です。黒ずみ治療に用いられるレーザーは黒いメラニン色素に反応して破壊しますが、熱エネルギーが生じるため、周りの細胞にもダメージが及ぶリスクがあります。

ピコレーザーは衝撃波により色素を粉砕するので、デリケートな小陰唇にも照射が可能です。ただ、レーザーの反応の良さが部位によって異なることがあるため、色ムラを生じることもあります。

小陰唇の黒ずみは積極的な治療が不要?

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日本人はメラニン色素の量が多いため、思春期から閉経前までの女性であれば、ヒダに少なからず色素沈着があります。もともと小陰唇が黒みがかっているので、セルフケアだけで色素沈着を改善するのは難しい場合がほとんどです。
こうした理由のため、小陰唇の黒ずみは必ずしも積極的な治療を必要としているわけではありません。しかし、小陰唇は入浴やプールの着替えなど公共の場でも晒されにくく、秘匿性の高い部位であるため、「自分の小陰唇が黒い」と悩んでしまう女性が多くいらっしゃいます。ヒダの色素沈着により強いコンプレックスを感じて、毎日落ち込んだり、パートナーとのセックスに前向きになれない場合は、施術で改善も可能です。

まとめ

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小陰唇のヒダの色素沈着と性経験の豊富さは関連はなく、女性ホルモンの影響を受けます。特に、アジア人女性の場合、思春期を過ぎると、小陰唇の色がピンクから紫がかった色になることがほとんどです。また、小陰唇の黒ずみは人種や個人差がありますが、治療が必要なわけではありません。

その一方で、デリケートゾーンの黒ずみは、自他ともにネガティブな印象を与えやすく、小陰唇の色で悩んでしまう人もいらっしゃいます。小陰唇の黒ずみが気になる場合は、セルフケアで色素沈着が濃くならないようにしたり、施術で改善を図ったりすることができます。

ヴェアリークリニックでも、女性器について豊富な知識がある専門医による治療を受けられます。ぜひ一度相談にいらしてください。

この記事を監修した医師

ヴェアリークリニック院長

井上 裕章

医師プロフィール

東京大学医学部の卒業後は外科専門研修を修了し、外科専門医を取得。性器・生殖器官や大腸肛門を含む骨盤臓器、および下肢の疾患を専門とする外科診療にあたる中で、下半身の美容的な悩みを抱える患者さんから相談が多く寄せられるようになる。その過程で、下半身美容を専門的かつ総合的に診療している美容医療機関が存在せず、それぞれの分野に分かれて別個で診療されていることを知り美容医療の道へ。最善の治療を患者さんに提供するべく、各分野の美容系クリニックでの修練を重ねたのちに、自らの骨盤臓器と下肢に対する外科治療の経験および解剖の知識を生かし、下半身に関する総合的かつ専門的な美容医療を提供する「veary clinic」 を開院へと至る。